冷戦真っ只中に日米ソが大慌て「ベレンコ中尉亡命事件」MiG-25がもたらした旧ソ連の最高機密とは?

いまから半世紀ほど前の1976年に起きた旧ソ連軍人の亡命事件。函館空港に強行着陸したMiG-25は、当時のアメリカが喉から手が出るほど欲しかった「機密の塊」でした。その当人が、最近ついに他界しました。

日本を騒がせたMiG-25の出自

 2023年11月22日、ある一人のロシア人がなくなったというニュースが日本国内で報じられました。彼の名は「ヴィクトル・ベレンコ」。年配の読者には、函館空港にMiG-25戦闘機で強行着陸した旧ソ連(現ロシア)のパイロットとして覚えている人も多いでしょう。

 彼が乗ってきたMiG-25は、1964年3月6日に初飛行をはたした当時最新鋭の戦闘機で、東西冷戦の最中でその様子が窺いにくい「鉄のカーテン」の向こう側、ソ連の最高秘密兵器でもありました。

 ところが、そのMiG-25が、あろうことか1976年9月6日、亡命用途で日本へ行ってしまったのです。結果、日本は否応なく米ソの駆け引きの狭間に置かれたほか、日本の防空指揮管制システムの要である「バッジ・システム」の穴を突かれたことで、改めて国防について再検討する羽目に陥りました。

 ある意味で、日本の現代史に大きな影響を及ぼしたMiG-25とベレンコ氏について、改めて振り返ってみましょう。

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ベレンコ中尉亡命事件の際、北海道千歳基地から飛び立った航空自衛隊のF-4EJ「ファントムII」戦闘機(画像:航空自衛隊)。

 東西冷戦がますます激化しつつあった1950年代後半、アメリカの軍用機開発は「速く、そして高く飛ぶ」ことに主眼を置いていました。その結果、ノースアメリカンXB-70「ヴァルキリー」爆撃機やロッキードA-12戦闘機(後のSR-71偵察機)が開発されますが、これを察知したソ連(当時)は、それらアメリカの軍用機を迎撃できる高性能な戦闘機の開発に着手します。こうして誕生したのがMiG-25、NATOコードネーム「フォックスバット」でした。

【大失態の穴埋め用か】これが亡命騒ぎによって急きょ配備された自衛隊機です(写真)

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