「国産輸送機つくるけど外国機を採用します」なぜ? 韓国の決定に国家のしたたかさを見た!

韓国はこのたび、ブラジル製のC-390「ミレニアム」を次世代輸送機として採用することに決めました。しかし韓国は独自に国産輸送機の開発も進めていたはず。大きさも性能もよく似ているのに、なぜ外国機を導入することにしたのでしょうか。

ブラジル製輸送機の導入こそMC-X開発の布石か?

 MC-Xの開発を進めるKAIは、戦闘機や練習機こそ実機の製造まで果たしていますが、それらよりも大きな機体を自主開発した経験はありません。一方のエンブラエルは旅客機の開発によってそのようなノウハウを豊富に持っています。

 今回のC-390導入決定でも、採用の理由は他の候補機と比較して価格面で有利だっただけでなく、その導入契約には機体部品の韓国国内企業の製造や、韓国が独自に行うMRO(保守・修理・オーバーホール)支援体制の確立などが含まれていました。こういったことを鑑みると、機体売買以上の付加価値が韓国とブラジル、双方にあることは明らかです。

 ひょっとしたら、MC-Xの開発を滞りなく進めていくうえで、韓国サイドはあえてC-390を導入し、それをもって国内メーカーの技術を引き上げるとともに、場合によってはエンブラエルに協力してもらおうと考えているのではないでしょうか。

Large 20231209 01
韓国空軍が現在運用するC-130H「ハーキュリーズ」輸送機(画像:韓国空軍)。

 現在、韓国の防衛産業は盛況であり、国産装備品の輸出についても多くの成功実績を積み上げています。しかし、今回のMC-Xプロジェクトの背景が示すように、その多くは韓国国内だけの限られた需要と予算で国産開発を進めるのは難しく、輸出による増産が開発計画を維持するうえで必須だと言えるでしょう。実際、そのように外国における需要を盛り込んでようやくモノになった事例は多々あります。

 また、国内の自主開発を行うにあたっては、その前段階として海外装備品のライセンス生産や技術移転、業務提携などを地道に重ねています。

 MC-Xを含め、今後の韓国空軍の新型機導入については、国産機と外国機などという単純な色分けや機体性能だけで判断するのではなく、産業も含めた俯瞰的な視点で見ていく必要があるのではないかと、今回のC-390採用決定を見て筆者は感じました。

【了】

【並べると一目瞭然!】韓国空軍の輸送機3種類とMC-X、日本製C-2のサイズ比較

Writer:

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  4. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  5. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス