かつての大幹線を「単線化」そこまで考える時代? しなの鉄道ピンチ脱却プラン “利便性は維持できる”
信越本線を“まるっとそのまま”引き渡された
しなの鉄道は1997(平成9)年10月、日本で初めて、新幹線開業にともないJRから分離される並行在来線を引き継いで運行を開始しました。その後、新幹線網の整備に伴い全国に次々と並行在来線の第三セクター鉄道が誕生しますが、しなの鉄道には先駆者ならではの“重荷”があるようです。
「現在の3セクは、JRの施設を大幅に整理し、自由に使える基金を用意したうえで(路線が)引き渡されていますが、26年ほど前に当社が誕生する際は、そうした整理ができていませんでした。要・不要もなく一式で引き渡されているうえ、その価格も帳簿の価格そのもので、再査定されていません。その後の3セクは、当社の事例を研究し、そのあたりをしっかりされています」(しなの鉄道)
なお、単線化は検討するものの、具体的なスケジュールは決まっていないとのこと。その前に、駅施設の見直しが先行する見込みだといいます。
「たとえば上田駅など、特急が停車していた駅の長いホームの石畳や、ホーム屋根の使っていない部分まで維持している状況です。北長野駅や豊野駅などには、使っていない引込線なども多くあります。そういうところから、時間をかけて(撤去を)行っていきます」(同)
しなの鉄道を先例に、施設整理を行ったうえで引き継がれた3セクでも「意外と同じ悩みは聞く」とのことですが、「お客様に対し利便性を維持したい思いは同じ」だといいます。同社の“スリム化”が、またしても全国の先駆けとなるのでしょうか。
ちなみに、単線化はこれまで、地方鉄道などでいくつか事例がありますが、旧信越本線という大幹線での単線化検討は異例の規模といえそうです。とはいえ、JR東日本もコロナ禍を経て、単線化や「非電化化」などを含めた施設の見直しを進めており、“施設スリム化”はある種のトレンドになる可能性もあります。
【了】
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