これぞ未来の大砲「レールガン」の使い方、研究現場で聞いてきた 米軍も諦めた課題、日本が世界をリード!

最大の問題「エロージョン」を克服

 こうして見てみると「レールガン」は極めて高性能な砲であることがわかるでしょう。しかし、レールガン開発には大きな問題が横たわっています。

 それが「エロージョン」すなわち砲身の摩耗です。瞬間的に大電流を流し、マッハ7の超音速で弾丸を射出するため、電流による加熱が生じて砲身内部が激しく削れてしまうのです。

 実はアメリカ海軍は、2021年にレールガンの開発を事実上中止しました。その理由の一つがエロージョン問題だったとも言われています。アメリカの報道によれば、12~24発の射撃で砲身が使い物にならなくなったそうです。

 では、日本のレールガンは、この問題にどう取り組んでいるのでしょうか?

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現在試験されているレールガン。側面の青いラインについては、機能に関わる特殊な材質なのかと思いきや、単なるデザインという回答だった(画像:防衛装備庁)。

 日本は、「レール(砲身)の素材変更」と「電流の流し方の変更」、この2つによって、エロージョン問題を克服したとのことでした。

 まず前者ですが、これまで導電性や加工のしやすさから銅を主に砲身の素材として使っていたところを、導電性が高く摩耗に強い素材に変更することでクリア。そして後者については、瞬間的に大きな電流が加わらないように流し方を工夫したそうです。

 これにより、日本のレールガンは秒速2000m以上の弾丸を120発まで発射することに成功しました。しかも120発撃ったあとでも砲身に目立った損傷はなく、実用化に向けて大きく前進しています。

【小さっ!】これがレールガンの専用弾です(写真)

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