なぜ同時に滑走路へ? 羽田空港「航空機衝突事故」の焦点 破られた「一つの滑走路に1機」の大原則
「一つの滑走路に1機の航空機」のはずが
ここでもう1つ、気になるのが航空管制です。国際ルールでは「一つの滑走路は、一度に1機の航空機しか使用することができない」とあり、このルールが厳格に守られることで、離発着の密度が高くても、事故のない運航が可能です。この司令塔となるのが航空管制です。
航空機の離発着には管制の許可が必要です。管制と乗員は無線による音声通話でやり取りをしていますが、国土交通省航空局は「許可がどういう形で行われたか確認中」としています。
警視庁はこの事故について業務上過失致死傷の疑いで刑事責任を追求しますが、事故原因の調査は運輸安全委員会の調査官に委ねられます。多くの場合、その結果が定まるまでには長い時間が必要です。
滑走路に進入する場合の乗員の安全確認は大前提で、その部分はフライトレコーダーの解析などを待つ必要がありますが、管制との会話は地上で記録されていて、それほど時間を待たずに概要は明らかにできるとみられます。
もしも衝突のタイミングがずれていたら、JAL機の乗員乗客の避難が遅れていたら、人的被害はさらに大きくなったかもしれません。利用者に待ち望まれるのは、再び事故が繰り返されないための原因が一刻も早く明らかになり、それが対策として生かされることではないでしょうか。
【了】
Writer: 中島みなみ(記者)
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。
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