「この対空砲使えないでしょ…」一転、もはや防空の要に! 「ゲパルト」はウクライナでなぜ成功したのか
安い兵器は安い兵器で撃ち落せ!
そうした中でウクライナの戦場に投入されたゲパルトは、予想に反して、ドローンや亜音速で飛ぶ巡航ミサイルを相手に迎撃能力の高さを発揮します。
特にドローンのなかでも、ロシアがイランから輸入した自爆ドローン「シャヘド」や、そのロシア版の「ゲラン2」、同じくロシア製自爆ドローンの「ランセット」など、自爆攻撃目的のドローンに対しての有効性が証明されます。その理由としては、低空を低速で進入する自爆ドローンが、たまたまゲパルトの設計思想に合う相手だったという話や、そもそも偵察用ドローンよりも目標が大きく、機関砲の弾を当てやすいといった話があります。
そして、なんといっても機関砲の弾を使っての迎撃であるため、ミサイルなどで迎撃するよりも圧倒的にコストパフォーマンスがいいことが魅力です。
たとえば、ウクライナに供与されている「パトリオット」地対空ミサイルは1発3~4億円がかかります。それに対してドローンは安価なものだと数万円程度、35mm機関砲の弾も1発数万円といわれており、安価なドローンを相手にするのに有効な手段となっています。
ウクライナ大統領府のミハイロ・ポドリャク顧問も、自爆ドローン相手にはゲパルトのほか、小型ミサイルで迎撃する対無人機システム「バンパイア」のように、安価でシンプルな兵器が費用対効果も高い可能性があるとの見解を示し、このような兵器のさらなる供給を求めています。
ちなみに、こうした費用対効果の問題は2024年1月現在、紅海でフーシ派を相手にするアメリカ軍やイギリス軍も悩まされています。フーシ派の安価な無人機や巡航ミサイルによる商船への攻撃を、高価な対空ミサイルで迎撃している状況です。
そのため、自走対空砲が再評価される流れが起きており、ドイツでは「リンクス」歩兵戦闘車や「ボクサー」装輪装甲車に搭載可能な防空システム「スカイレンジャー30」が開発中で、トルコでは、ACV-30「コルカッタ」という車両が2018年から配備されています。
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