世界の造船シェア「中韓で8割」どうしてそうなった 昔は日本が5割 今の追い風にもうまく乗れないワケ

日本が世界に先駆けてマーケットをつくる!

 中国工業・情報化部は1月15日、中国の造船所における船舶の竣工量を載貨重量トンベースで発表しました。2023年の年間建造量は4232万重量トンで世界シェアは50%。受注量は7120万重量トンでシェア率は67%にものぼっています。特にバラ積み運搬船は世界全体の8割を占め、原油タンカーも7割、コンテナ船も5割といずれも高いシェアとなっています。

 船社も中国の造船所を選択する傾向にあり、日本の3大海運会社の日本郵船、商船三井、川崎汽船のコンテナ事業を統合したオーシャンネットワークエクスプレス(ONE)は、初めて整備する1万3000TEU型のメタノール燃料コンテナ船12隻を江南造船と揚子江船業に発注しています。このように高い技術力が求められる環境対応船に関しても、日本の造船所は後れをとっていたのが現状です。

 日本郵船は1月26日、世界で初めてアンモニアを燃料に使用するアンモニア輸送船の建造を決めたと発表しました。建造を担うのはJMUの有明事業所です。日本郵船などと開発に取り組む日本シップヤード(NSY)の前田明徳社長は「最初に実績を作り、マーケットの中で先行利益を取っていくことが非常に重要だ」と話しており、将来的に日本だけで年間3000万トンもの需要が見込まれるアンモニアの海上輸送を担う船舶を、国内で建造していく方針を示しています。

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日本郵船らによるアンモニア燃料アンモニア輸送船建造の記者会見の様子。2024年1月26日(深水千翔撮影)。

 川崎重工業は16万立方メートル級の大型液化水素運搬船を開発しており、日本郵船や商船三井、川崎汽船と協力し、国際的な水素サプライチェーンの構築に向けて、香川の坂出工場で実船を建造する計画です。

 かつてLNG船で敗れ、需要が増える中でも商談の入り口にすら立てなくなった造船日本。2024年がその復活のきっかけとなる年になるのか要注目です。

【了】

【デカすぎ…】日本で見られる「最大級のコンテナ船」のスゴい積み方(写真)

Writer: 深水千翔(海事ライター)

1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。

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コメント

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2件のコメント

  1. 長きに渡る円高不況だったんだから製造の輸出系がシェア争いで負けるのは必然というか
    政府の政策が悪い

  2. 日本は原料調達の時点で負けてる。

    なんでもそう。