平成の「房総特急」はここまでスゴかった! 定期引退の255系を振り返る “ほぼ変わらず”令和まで
評判が良かったとはいえないグリーン車
座席は全く新しく開発されたもので、特に普通車のグレードは高く評価されました。普通車には回転式リクライニングシートを採用し、シートピッチは国鉄形183系の91cmから97cmに拡大され、さらにレジャー色の強い特急車両であることを考慮して、肘掛けにはテーブルが収納されました。
さらにパイプ式とはいえ、フットレストも搭載されており、それまでの「体を起こすとリクライニングが戻ってしまう」183系の簡易リクライニングシートと比較すると、大きくグレードが上がりました。
座席鉄の筆者(安藤昌季:乗りものライター)は255系の普通車に何度か座りましたが、リクライニング角度がやや小さいものの、背もたれの形状はなかなかであり、座面のお尻側がもう少し下がっていれば、と思うくらいで、よくできた座席と感じました。床にはエンボスの塩ビシートが貼られており、海水浴客が汚しても簡単に清掃できました。
評価の高い普通車と比較して、登場時から賛否が分かれていたのがグリーン車でした。シートピッチは116cmで国鉄標準と同じ。テーブルは肘掛け内と座席背面に備わり、国鉄型グリーン車よりも改善されていましたが、リクライニング角度ではやや劣り、フットレストも「開いて足を置けるだけ」で高さの変更はできませんでした。
また、グリーン車の半数が喫煙室で、通路は仕切りのないガラスの壁で仕切られただけだったので、禁煙室側に煙が入ってくることもありました。これは後の全車禁煙化で改善しましたが。
何より座席配置が、ほかのグリーン車で見られるような1+2列や1+1列に対し、255系は2+2列となっていました。当時の房総特急はグリーン車の乗車率が良かったことから、JRは定員確保を優先して2+2列としたのです。この255系以降、JR東日本では2+2列グリーン車の採用が増えていきました。
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