「秒速3万kmのビーム兵器」をひらりと避ける『ガンダム』世界 そんなこと可能なのか? 現実世界で考えてみた
拳銃弾でも見て避けるのはムリ!
こうした光線兵器が実用化された『ガンダム』世界では、エースパイロットが搭乗するMSが度々、自機に向けて飛んでくるビームを回避しています。未来予知に近い能力を持つニュータイプであれば、そうしたことも容易なのかもしれませんが、亜光速のビームを避けることなどできるのでしょうか。
メガ粒子砲の到達速度は「光速並み」「光速の3分の1」「光速の10%」という説がありますが、一番遅い最後の説を採用した場合でも秒速約3万kmという速さです。
一方、人間の神経伝達速度は秒速120m、音速の3分の1です。秒速3万kmと比べると250分の1という極めて遅いスピードであるため、光が見えた瞬間にビームはすでに命中した後であり、「見てから回避」は不可能でしょう。
そもそも、ビーム兵器でなくとも「見てから避ける」のは困難です。拳銃弾でも秒速350m程度で、人間の神経伝達速度の3倍の速さで飛来します。相手の発砲を認識してから、銃弾を避けるために、脳が身体を動かす指令を発して、各部の筋肉が動く前に、相手の照準が逸れてなければ命中してしまいます。
ちなみに弓道の強弓の矢が秒速55m、アーチェリーで用いるリカーブボウの矢であれば秒速50~70m、コンパウンドボウの矢では秒速80~100mだそうです。この速度なら、発射された瞬間に矢を認識し、脳が体に秒速120mで指示を出せば、わずかに各部の筋肉を動かすことで、場合によっては回避できるかもしれません。
なお、人間の体が発揮できる最高速度は、ウサイン・ボルトが100mで記録した37.59km/h。これを秒速に直すと10.4mです。この100m走の20分の1の速度でも、1秒で50cm動ける計算になるため、理論上は矢を避けたり、MSの操縦系統を動かしたりできる可能性はゼロではないものの、ほぼ無理でしょう。
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