魔改造の限りを尽くした「スーパー戦車」最後は救急車に!? 「骨の髄まで使い倒す」精神で成長を遂げた軍事大国

イスラエルは建国当初、合法非合法問わずM4「シャーマン」戦車をかき集め、ひたすら改造して使いました。その結果、同国の改造型は「究極のシャーマン」と呼ばれるほどだとか。しかも戦車で使えなくなっても第2形態に変身させたそうです。

「建国の戦車」「救国の戦車」と呼ばれる名車

 2024年現在、中東屈指の軍事大国となったイスラエル。しかし、1948年5月の建国当初はあらゆる兵器が満足にない状況で、世界中から合法非合法を問わず、使える兵器をかき集めていました。

 それは戦車も同様です。今でこそイスラエルは、過去の戦訓を踏まえて「メルカバ」という優秀なオリジナル戦車を開発し、大量運用しています。しかし、建国当初はスクラップ同然だった戦車を整備し、大切に使いながら、今日のように技術力を高めてきたのです。

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1966年の独立記念式典で行進するイスラエル軍のM51「スーパー・シャーマン」。搭載するのは105mm戦車砲(画像:イスラエル国防軍)。

 イスラエルが最初にまとまった数を手にすることができた戦車は、アメリカ製のM4「シャーマン」です。同車は、第2次世界大戦後に余剰品として世界の兵器市場に出回っていました。それを、中古だけでなくスクラップや屑鉄の名目でも買い集めて再生し、機甲部隊の主戦力に据えたのです。結果、イスラエルにとってまさしく「建国の戦車」「救国の戦車」ともいえる存在となりました。

 なぜイスラエルはM4「シャーマン」をここまでそろえたのか。その理由は、第2次世界大戦において、それまでアメリカやイギリスにいたユダヤ系やユダヤ人たちが、各国の軍人として従軍し、同車の運用や整備に関して相応の経験を積んでいたからです。

 こうしたことから、新生イスラエルの戦車関係者たちにとってM4「シャーマン」は扱い慣れた存在であり、中古のみならずスクラップ扱いまでされていた同車の再生作業は、他の戦車よりもやりやすかった模様です。

 また、大戦中にアメリカで大量生産されたM4「シャーマン」は、高い工作精度で造られていたことから、戦車の構造を知るという意味で、イスラエルの軍部のみならず同国の産業界にとっても偉大なる「参考書」になったのも、有意義なことでした。

 まさにイスラエルは、「スクラップを生き返らせる作業」を何度も行うことで、戦車の開発と設計に通じる技術を習得した結果、やがてオリジナル戦車の「メルカバ」を生み出すまでの技術力とノウハウを醸成させたのです。

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