魔改造の限りを尽くした「スーパー戦車」最後は救急車に!? 「骨の髄まで使い倒す」精神で成長を遂げた軍事大国
戦えないなら強力な武器と組み合わせよう!
イスラエル軍が本格的に装備した「シャーマン」戦車は、長く使われ続けたので段階的にバージョンアップが図られています。最初のうちは第2次世界大戦時に造られた75mm砲搭載型、105mm榴弾砲搭載型、76mm砲搭載型の3種類でした。
なお、イスラエル軍では搭載されている砲の型番を末尾に付け、前者を75mm戦車砲M3にちなんで「シャーマンM3」、中者を105mm戦車用榴弾砲M4にちなんで「シャーマンM4」、後者を76mm戦車砲M1にちなんで「シャーマンM1」と称しています。
特に、敵対する当時のアラブ側の主力戦車であったT34/85戦車に対し、優位に戦える「シャーマンM1」は、他のモデルと区別するため「スーパー・シャーマン」とも呼ばれました。
また、これらイスラエル初期の各「シャーマン」戦車は、オリジナルでは型式によって異なっていたエンジンを、コンチネンタル社製のガソリンエンジンに統一しています。
しかし、第2次世界大戦後に勃発した東西冷戦の中で、戦車の発展は著しく、大戦中の砲を搭載した「スーパー・シャーマンM1」が、いずれ威力不足となることは明白でした。
そこでイスラエルは、「スーパー・シャーマンM1」の火力向上を計画します。
具体的には、フランス製の長砲身75mm砲CN-75-50を搭載することを企図しました。ただ、この砲はそのままではM4「シャーマン」の砲塔に搭載できないため、砲塔にも手を加え、前後に延長することで容積を拡充し、搭載にこぎつけました。こうして生まれたのが、「M50スーパー・シャーマン」です。
かくして「M50スーパー・シャーマン」は、戦後生まれの戦車にも負けない攻撃力を獲得します。しかし1960年代に入ると、アラブ側にT-55などのさらに強力な旧ソ連戦車が供給されるようになり、「M50スーパー・シャーマン」はまたしても威力不足が懸念されるようになりました。
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