魔改造の限りを尽くした「スーパー戦車」最後は救急車に!? 「骨の髄まで使い倒す」精神で成長を遂げた軍事大国

イスラエルは建国当初、合法非合法問わずM4「シャーマン」戦車をかき集め、ひたすら改造して使いました。その結果、同国の改造型は「究極のシャーマン」と呼ばれるほどだとか。しかも戦車で使えなくなっても第2形態に変身させたそうです。

ウワモノ変えれば、まだ使えるよね

 そこで今度は、さらに大口径の105mm戦車砲CN-105-F1を、砲身を短縮するなどして「シャーマン」に搭載することを計画。こうして生まれたのが、「M51スーパー・シャーマン」でした。

 陸上自衛隊で例えるなら、61式戦車よりも古い、創成期に供与されたM4「シャーマン」戦車に、74式戦車と同等に近い砲を組み合わせたような「M51スーパー・シャーマン」は、研究者によっては「究極のシャーマン」と呼ぶほどです。

 1962年に完成した「M51スーパー・シャーマン」は、主砲だけでなくエンジンもアメリカ製のディーゼルに換装されており、逐次改修を重ねる形で1980年代中頃までイスラエル軍で運用され続けました。

Large 20240306 01
76mm砲搭載型の「シャーマンM1」。初期に戦力化した各種「シャーマン」のなかで最も敵戦車の撃破に向いた砲を搭載していた(画像:イスラエル国防軍)。

 なお、「M51スーパー・シャーマン」は、イスラエル戦車兵の練度の高さもあって、実戦では、前出のT-55はもとより、より新しく強力なT-62戦車などを相手にしても互角以上の戦いをしています。

 しかし、さすがにイスラエルのオリジナル・シャーマンの各型も、主砲の威力は上がっても防御力や機動力は大幅な向上を図るのが難しかったため、国産戦車「メルカバ」の導入と入れ替わるかのように、1980年代に入ると退役が始まり、一部はチリへ売却されました。

 とはいえ、イスラエルが入手したM4「シャーマン」の生涯は、これで終わりを遂げたわけではありませんでした。

 戦車として通用しなくなると、砲塔を取り払い、車体については 155mm自走榴弾砲M50、155mm自走榴弾砲「ソルタム」L33、160mm自走迫撃砲「マクマト」、シャーマンMRL系多連装ロケット発射器、さらには装甲救急車などに転用されたのです。「二度目のご奉公」といえば聞こえは良いでしょうが、まさにイスラエルの「骨の髄まで使い倒す」精神を垣間見るかのような「魔改造」ぶりでした。

 このように、イスラエルのために半世紀近くにわたって使われ続けたM4「シャーマン」戦車は、まさしく同国にとっては「建国の戦車」であり「救国の戦車」でもあったと言っても過言ではないでしょう。

【了】

【戦車が無理なら自走砲に改造だ!】イスラエルが作った魔改造な自走砲たちをイッキ見(写真)

Writer:

東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。

最新記事

コメント

1件のコメント

  1. 後期の魔改造を手掛けた『ソルタム』は~『フィンランドのタンペラ社』から暖簾分けして出来た。~『武器の迂回輸出。実戦データ収集目的のダミー会社』・・・『ユダヤ人の上前をハネル』・・・エリア88のproject4や、Ζガンダムのアナハイムよりも真っ黒ですね(^_^;)

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  4. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  5. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス