「あれ…この戦車ヘンじゃない?」かつてソ連が作っていた“弱体化を施した”兵器とは 今もウクライナで?
ウクライナ戦の戦車はモンキーモデルなの?
なぜ、ソ連がモンキーモデルを供給していたかについては、ソ連時代に一切明言されることがなかったので定かではありませんが、戦闘による鹵獲のほか、輸出国や操縦者の離反などで、アメリカやイギリスといった西側諸国に自国の先端技術が流出するのを防ぎたい狙いがあったといわれています。
現在、ウクライナの戦場でロシア、ウクライナ両軍が使っているT-72は、もともと両国とも旧ソ連の構成国なのでモンキーモデルではありません。ただ、対戦車ミサイル「ジャベリン」や、車両上部を狙った自爆ドローンのトップアタックなど、開発当時にはなかった戦法で被害が続出したため、モンキーモデルと揶揄する意見が出ました。
また、ロシアはT-72の後継戦車となっているT-90に関しては、ソ連製の戦車が大きく信用を落としたことで「モンキーモデルは作らない」と明言しています。ただ、2004年からロシア軍で導入されているT-90Aの輸出版であるT-90Sは、T-90Aに搭載されている赤外線防護システム「Shtora-1」が未搭載で、モンキーモデルほどはひどくはありませんが、若干のデチューンを施したモデルとなっています。
とはいえ、このデチューンはそれほど大きな問題はないようで、ロシア軍は、本来インドやベトナム向けに製造されたT-90Sをウクライナの戦場に投入しており、一部車両はウクライナ軍が鹵獲しています。
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Writer: 斎藤雅道(ライター/編集者)
ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。
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