ゴジラに最も「やられた」戦闘機とは? 恐ろしさの“引き立て役” 最近じゃ地位が上がってきてる!?
1990年代からはF-15も登場!
約10年の休止期間を経て、1984年に公開された『ゴジラ』のポスターにも戦闘機が登場しています。
その姿は、単発で主翼が大きく、日の丸を背負っており、F-2と非常に似ています。ただF-2の初飛行は1995年、この時はまだ計画段階で、影も形もありませんから、おそらくこれはF-16を参考に描かれたものだと考えられます。
F-16をめぐっては1982年、航空自衛隊で使用しているF-1の後継機を決めるために、後のF-2を開発することとなる、FS-X(次期支援戦闘機)計画が立ち上がり、その候補機として挙がっていたため、ゴジラに登場する戦闘機に反映された可能性もあります。
ポスターではこれらの戦闘機がスモークをひきながら、曲技飛行のような編隊飛行を見せていますが、本編でその姿は確認できません。代わりに本編で確認できるのは、戦後初の国産戦闘機F-1を改良したF-1CCVと呼ばれる機体です。
F-1CCVは、1983年8月に防衛庁技術研究本部と三菱重工がT-2をベースに開発した実験機T-2CCVに、F-1の要素を合わせたような機体ですが、実は架空の存在です。ゴジラシリーズの対ゴジラ兵器として名の知られる「スーパーX」と呼ばれる飛行体とともに登場しました。
そして2024年現在でも航空自衛隊の主力戦闘機として運用されているF-15が、ゴジラのスクリーンに初登場したのは1989年の『ゴジラVSビオランテ』でした。
ただしこのときは、ゴジラやビオランテとは戦わず、抗核エネルギーバクテリアを打ち込まれたゴジラの体温を、人工落雷によって上昇させるために薬品を散布するだけの登場でした。
しかしその後のゴジラシリーズで順調に登場回数を伸ばし1984~1995年までの「VSシリーズ」はもちろん、その後、1999~2004年まで続いた「ミレニアムシリーズ」でも度々姿を現し、F-86Fに次ぐ登場回数を誇る戦闘機となっています。
2016年に公開された『シンゴジラ』では、F-15ではなくF-2が登場しています。この作品では、現実に存在する自衛隊の兵器のみを使用した、対ゴジラ作戦が描かれていますが、地上にいるゴジラを攻撃するには対空戦闘能力の高いF-15よりも対地対艦攻撃を想定しているF-2の方が適していることは明白です。
今まではゴジラの周囲を飛び回るだけの「やられ役」だった戦闘機が、ここへきて正しく作戦行動をしている姿で描かれているのが同作の大きな特徴です。
そのほか、歴代ゴジラシリーズにはF-4やF-1も登場しています。時代を彩った名戦闘機たちが、ゴジラと共演する姿をぜひ探してみてください。
【了】
Writer: 凪破真名(歴史ライター・編集)
なぎはまな。歴史は古代から近現代まで広く深く。2019年現在はフリー編集者として、某雑誌の軍事部門で編集・ライティングの日々。趣味は自衛隊の基地・駐屯地めぐりとアナログゲーム。
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