「米軍がソ連機を飛ばしていた」だと…? 冷戦下の「極秘ミッション」なぜ行われたのか

ソ連との冷戦下にあったアメリカ空軍では、ソ連製の戦闘機を秘密裡に飛ばす部隊が存在しました。なぜ敵国の戦闘機をあえて飛ばしていたのか、その経緯を見ていきます。

「極秘」を保持するための取り組みとは

 偵察衛星を避けるため、衛星が通過する時間に合わせて機体は格納庫に収容にされ、無線交信でも「ミグ」という機種名は使われませんでした。代わりに使用された機種名はミグ17がYF-114、ミグ21はYF-110、ミグ23はYF-113と呼ばれました。1990年になるとミグ29も導入され、こちらはYF-116と呼ばれました。

 また、隊員の多くは110キロほど離れたネリス空軍基地に所属していることになっていたため、ネリス空軍基地とトノパ飛行場の間はUC-12や三菱MU-2、セスナ404などの軽双発機が毎日運航されて隊員を輸送しました。また、集められた機体も古いものが多く部品の調達と整備には大変な労力が払われたそうです。

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2機のF-5戦闘機とともに編隊飛行するYF-114ことMiG-17と、YF-110ことMiG-21(画像:アメリカ空軍)。

 ソ連機を操縦する教官は空軍もしくは海軍の戦闘機兵器学校もしくはテストパイロットスクール卒業生の中から選抜された精鋭たちでした。戦闘機パイロットは新しい機種を操縦する前にシミュレーター訓練の後、複座型を使用して教官同乗訓練を行いますが、秘密裏に入手したソ連機は複座型もシミュレーターもありませんでした。

 ソ連製戦闘機は、当然西側の機体とはコクピット内の配置が異なります。そのため、転換訓練は慎重に進められました。機体の保守や飛行手順が確立してからは毎日訓練が実施され、ソ連戦闘機との模擬空中戦は、空軍以外に海軍と海兵隊の戦闘機パイロットにも対象が広げられました。およそ10年間の活動期間中に、のべ1万5000回以上の飛行が行われています。

 そして同飛行隊は1988年に活動を終え1990年に解散しました。これはソ連崩壊に伴う冷戦終結とミグ戦闘機の維持コストが理由だったとのことです。その後、「コンスタント・ペッグ計画」と第4477試験評価飛行隊に関する情報は2006年に機密解除となりました。

【了】

【写真】マジやんけ… これが「米軍が飛ばしてたソ連機」実機です

Writer:

航空評論家、各国の航空行政、航空機研究が専門。日本オーナーパイロット協会(AOPA-JAPAN)元理事

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