戦闘機を覆う「ニンジャ・ハンガー」開発元は“着物の帯メーカー”!? なぜか“防衛装備”になったワケ 海外展示会で注目

「シンガポール航空ショー2024」で日本企業が独特な可搬式格納庫を展示していました。説明によると、なんと電磁波を遮断できる布を使っているとのこと。どういうメリットがあるのか、担当者にハナシを聞きました。

技術の原点は着物の帯!

 開発したミツフジはもともと防衛産業とは関係のない会社で、企業としての原点は日本古来の和装で使われる帯なのだとか。創業は1956年で、最初は西陣帯の製造工場として事業が始まったそうです。

 その後は、縫製や繊維工場として業務を行っていましたが、1980年より自社で素材開発を進め、導電性ネットやテープなどの独自素材の販売を開始したといいます。

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「シンガポール航空ショー2024」に出展した防衛装備庁のブース(布留川 司撮影)。

 今回、出展した戦闘機用ハンガーに使われている繊維の銀メッキは抗菌防臭・導電・シールドの効果があり、2002 年に統合ブランド化。その製品の一つは抗菌防臭効果を活用し、国際宇宙ステーションの宇宙飛行士の下着素材にも採用されています。

 近年では素材だけでなく身に着けると体の状態がわかるウェアラブル端末の開発も行っており、装着者の暑熱リスクの度合いを知らせるリストバンド型デバイスなども開発。こちらも民間事業者向けに開発されたものですが、のちに陸上自衛隊の一部の駐屯地に納入されて利用されているそうです。

 一般的な日本人の感覚からすると、防衛装備品というと唯一無二で機密性の高い特別な存在に思えるかもしれません。しかし、そこで使われている技術的な要素は、民間で培われたものが多いと言えるでしょう。すなわち、防衛や民間といったカテゴライズには意味がなく、用途に応じてあらゆる業界で「横展開」するかたちで利用されています。

 筆者(布留川 司:ルポライター・カメラマン)は、海外の防衛関係のトレードショーをいくつも取材していますが、そこに参加する企業の多くは、防衛関係だけでなく民間分野での事業も平行して行っていることが多いです。それらを見ていると、双方に関わっていくことで技術発展が生まれる相乗効果もある模様です。

 西陣帯に始まって、宇宙飛行士の下着から戦闘機用ハンガーまで開発できるミツフジは、そのような防衛・民間のシナジー効果の具体例ともいえる企業だといえるでしょう。

【了】

【これが技術のキモ!】電磁波を遮断するハンガーに入ったF-35 のイメージ(写真)

Writer:

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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