新米自衛官を襲う「台風」とは? ベッドもロッカーもグッチャグチャ!? 厳しすぎる“伝統” 続く納得の理由

日本から遠く離れた南の海上で発生し、屋外に爪痕を残す台風。しかし自衛隊の「台風」はすぐ近くで発生し、屋内で猛威を振るうそうです。隊員なら必ず1回は経験する自衛隊名物の「台風」とは?

自衛艦が整理整頓を躾けられるワケ

 一見すると、非常に理不尽に感じる「台風」ですが、実は整理整頓を徹底する理由と密接に結びついています。自衛隊が規律正しい組織であると理解することはもちろんですが、同時に「非常時に対する備え」を普段から身につけるよう、意識づけする目的があると言われています。

 自衛隊が出動する非常時は、必ずしも明るい昼間だけとは限りません。夜間、それも停電して照明のない状態でも迅速に身支度をし、体制を整える必要があります。

 この時、物を一定の場所に収納して整理整頓を徹底していれば、手探りでも必要なものを探すことができ、身支度を整えることが可能です。海上自衛隊の艦艇では実際に、赤い非常用の照明だけという暗い状況で身支度をし、決められた場所に集合するという訓練が定期的に実施されているそうです。

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無駄な物なくきれいに整理整頓された隊舎の居室(咲村珠樹撮影)。

 部屋中のものを散乱させられる「台風」は、整理整頓をしていないグチャグチャの状態で迅速に身支度を整えられるのか、という問いかけを、あえて大袈裟に表現して見せているといえるでしょう。もしかしたら、多少は上官たちによるうっぷん晴らしの側面が含まれていることも否定できませんが……。

 災害派遣をはじめ、自衛隊が頼りにされるのは、ほかの組織では対応できない困難な状況がほとんどです。どんな時でも素早く対応できるよう、日頃の生活から非常時を想定しておくことを身につけるのも、自衛官にとって重要だと「台風」は教えてくれているのです。

 ちなみに、筆者(咲村珠樹:ライター・カメラマン)の自室は各種の資料が山積みとなっており、とても整理整頓されているとはいえません。もしこれが自衛隊の隊舎であれば、おそらく相当ひどい「台風」が待っていそうです。

【了】

【こりゃ狭いわ…】潜水艦内の居住スペース。私物は小さなロッカーへ(写真)

Writer:

ゲーム誌の編集を経て独立。航空宇宙、鉄道、ミリタリーを中心としつつ、近代建築、民俗学(宮崎民俗学会員)、アニメの分野でも活動する。2019年にシリーズが終了したレッドブル・エアレースでは公式ガイドブックを担当し、競技面をはじめ機体構造の考察など、造詣の深さにおいては日本屈指。

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