“山手線の踏切”なんてまだマシ? 都会に残る「開かずの踏切」5選 行ってわかった深刻さの“違い”

ターミナル駅近くの踏切は鬼門!?

 タイミング次第で「開かない!」、そんな踏切も少なくありません。

第一雲雀ヶ谷踏切(埼京線 池袋-板橋)/東3号踏切(東武東上線 北池袋-下板橋)

 埼京線、東武東上線が並行する区間の踏切で、名称はそれぞれ異なりますが、複線ふたつを渡る踏切として一体運用されています。

 ここのポイントは、なんと言っても“ツボにはまったとき”の待ち時間の長さです。

 埼京線は池袋駅以南で同じ線路を共用する湘南新宿ラインとのからみでダイヤが乱れやすいうえ、東上線も北池袋と下板橋との駅間が短く、各駅停車の踏切通過に時間がかかります。さらに東上線は池袋駅で折り返しとなるため、ダイヤが乱れると、この区間での「停止信号待ち」も頻発、文字通りの“開かずの踏切”になってしまうのです。

 ただ救いは、踏切のすぐ横に地下道が整備されていること。待ち時間が長いことを知っている地元の人は、警報器が鳴ると迷わず地下道に下りて行きます。

 なお東京都はこの埼京線、東上線の踏切をまとめて立体交差でパスする補助第82号線を事業化しています。ただ、踏切の西側は住宅密集地となっているため、その開通にはまだまだ時間がかかりそうです。

 アクセスは東上線の北池袋駅を降りてすぐです。

第三下田端踏切/第二下田端踏切(東北回送線 上野-尾久車両センター)

 運転本数は少ないのに、いったん遮断機が下りると待ち時間が長い、そんな踏切がこの「第三下田端踏切」「第二下田端踏切」です。

 その待ち時間の長さは、この踏切がJR東日本の尾久車両センターに出入りする電車の回送線上にあることに由来します。警報器が鳴り、遮断機が下りてから、ふつうの踏切に比べ「3倍くらいは待ったかな?」というところで、回送車両がゆっくりと通過していきます。

 アクセスは田端駅北口を下り、高架橋を東に渡ったあと、道なりに進みましょう。

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東北回送線の第三下田端踏切。高架の上野東京ラインに並行して地上に回送線が通っている(植村祐介撮影)。

井頭踏切/根岸踏切(京浜東北線 王子駅-東十条駅間)

 都内にあるJR東日本の踏切において“ラスボス”的存在が、この両者ではないでしょうか。

 隣り合ったこのふたつの踏切が渡るのは、京浜東北線、上野東京ライン、湘南新宿ラインの3複線。近隣駅の発着時刻をもとに平日朝7時台、8時台の通過本数を推定すると、それぞれ70本以上。じつに1分に1本以上が通過するため、「開いてることがまれ」という状況なのです。

 運転本数が少なくなる日中でも、1時間あたり30本以上が通過するため、いったん遮断機が下りるとまとめて4-5本待ちになることが珍しくありません。

 よって歩行者はのんびり待つか、井頭踏切に隣接する地下道をくぐるのが常。クルマで利用するのは「どうしてもこの踏切を渡らなければならない」という事情がある人だけでしょう。

 実際、踏切周辺は道も狭く、踏切待ちのクルマが線路西側に並行する道路(クルマがすれ違えない道幅なのに対面通行!)まであふれ、踏切が開くまであたり一帯がまったく動かなくなることもあるくらいです。

 アクセスは東十条駅南口からが便利です。

※ ※ ※

 以上、都心に近い「開かずの踏切」を5つ紹介しました。近くを通った際は、待ち時間をあえて楽しんでみるのもいいかもしれません。

【了】

【写真で見た方が早い!】都心の踏切5か所(地図/写真)

Writer: 植村祐介(ライター&プランナー)

1966年、福岡県生まれ。自動車専門誌編集部勤務を経て独立。クルマ、PC、マリン&ウインタースポーツ、国内外の旅行など多彩な趣味を通し積み重ねた経験と人脈、知的探究心がセールスポイント。カーライフ系、ニュース&エンタメ系、インタビュー記事執筆のほか、主にIT&通信分野でのB2Bウェブサイトの企画立案、制作、原稿執筆なども手がける。

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