「この車両、もとは価値1円だった」…自前改造で“ウン千万円”に変身! 空港の働くクルマ“EV化”現代の錬金術

ANAグループで空港の車両整備を担う会社が、EV化した特殊車両の“初号機”を公表しました。減価償却を済ませた古い車両を自社でレストア、EV化し、その価値を1千万倍以上に高めるという日本初の取り組みです。

すべて“自前”で、2年かけ完成

 航空業界のCO2排出量の削減は、排出の大半を占める航空燃料の改善が前提です。GSE(航空機地上支援車両)が削減対象から外れているわけではありませんが、国内ではほとんど手つかずでした。

 車両整備としてCO2削減を考えると、移行期にはエンジンとモーターの整備を両立させなければならないという課題があり、単に排出ガス削減のために電動車を採用しても解決しないことが、取り組みの足かせだったのです。加えて、電動車整備のための作業スペースが、エンジン車とは別に必要になるほか、エンジンの整備に携わってきた整備士にも電動に対応した整備技術が求められます。

 そのコストは、電動車を採用した時点から始まり、エンジン車が最後の1台となるまで考慮しなければなりません。

 その点であえて電動車を購入せず、モーターとバッテリーに換装したEVコンバージョンで電動ベルトローダー車を自社で作り上げることは、電動の整備技術向上を向上させながら、簿価1円の価値を究極まで引き上げることができます。

 同社はベルトローダ―車の電動化に2022年10月から取り組み、約2年間の時間をかけて2024年3月に電動車の通電に成功しました。この間の仕様設定、部品選定、概算費用の算出、製作工期、法的要件の確認など、すべてを自社の整備担当者が手がけています。辻村社長が完成までの2年間を振り返ります。

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運転席後部のECUの内部。タジマモーターコーポレーション製(中島みなみ撮影)。

「最初の1年間は試行錯誤で、EVの一般車両の見学や先行する欧州の状況を視察することにも時間を費やし、その後、電気自動車普及協会の協力など各方面の力を得ながら実現させた」

 EVベルトローダー車には、走行モーターと荷役モーターの2つが搭載され、走行モーターには減速機が備えられています。目的は走行モーターの加熱防止以外に、エンジン車との運転の違和感をなくすためです。また、荷役作業でもエンジン車との違和感をなくすために、あえてエンジン車と同じ油圧ポンプを採用しました。

【え、これ直したの…?】よくぞ蘇らせた! EV化する前のベルトローダー車(写真)

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