ブルーインパルスなのに青くない!? 実機すら残っていない「幻の塗装」ごく短期間で終わった切ない理由

わずか2年で消えた初代塗装

 このブルーインパルスの初代塗装は、当時の飛行機ファンから大いに喜ばれたそうです。しかし、わずか2年後の1963(昭和38)年10月には新しい塗装へ変更されます。この新塗装こそ、F-86Fが1981(昭和56)年に引退するまで親しまれた白地にブルーのラインを描き込んだカラーリングでした。

 これは、映画の撮影協力を通じて交流を深めた映画会社の美術スタッフが、ブルーインパルス隊員の案をリファインしたものとのことで、この白と青を組み合わせたデザインは好評をもって迎えられました。

 初代塗装がわずか2年で消えた理由は不明ですが、ピンクとライトブルーの退色が早いなど、色の管理が大変なことが影響したのかもしれません。

 また、写真によってはピンクやライトブルーが白っぽく見えるため、のちに書籍やプラモで解釈違いを生む原因にもなりました。ちなみに、筆者(リタイ屋の梅:メカミリイラストレーター)はこの初代塗装が大好きで、プラモデルを何個も持っています。

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現行のT-4ブルーインパルスのカラーリングデザイン(リタイ屋の梅作画)。

 こうして形作られた「ブルーインパルス=青いカラーリング」というイメージは、2代目のT-2や、3代目T-4にも引き継がれています。また、60年以上前に始まった関係者の努力が、いまのブルーインパルス人気にもつながっているのではないでしょうか。

 次の機種が何になるかは、まだわかりません。しばらくの間はT-4練習機を使い続けるのでしょうが、これからも末永く親しまれる存在であってほしいと筆者は強く願います。

【了】

【金と銀にピンク!?】わずか2年で消滅「幻のブルーインパルス」塗装を見る

Writer: リタイ屋の梅(メカミリイラストレーター)

1967年生まれ。「昭和30~40年代の自衛隊と日本の民間航空」を中心に、ミリタリーと乗りもののイラスト解説同人誌を描き続ける。戦後日本史も研究中。

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