ブルーインパルスなのに青くない!? 実機すら残っていない「幻の塗装」ごく短期間で終わった切ない理由

航空自衛隊を代表するアクロバット飛行隊「ブルーインパルス」。初代が使っていたのはF-86ジェット戦闘機ですが、さらに発足当初は今ではイメージできない塗装をまとっていました。なぜ消えてしまったのでしょうか。

世界でも珍しい、リーダー機だけ違うデザイン

 その人物とは当時の航空幕僚長である源田 実空将。かつて日本海軍の指揮官時代に「源田サーカス」と呼ばれたアクロチームを率い、ブルーインパルスの公式化も推進した人物です。

「アクロも一本立ちしたのだから、見る人に与える感じも考えなくては」

 航空自衛隊トップの「鶴の一声」と言える、このひとことをきっかけに、ブルーインパルスの仕様機には特別な塗装が施されることになりました。しかも見た目が華やかになるだけでなく、目立つことで空中衝突の防止にもつながるという効果も含まれていたようです。

 当時、ブルーインパルスが所属していたのは静岡県の浜松基地。この基地所在の隊員からデザインを募集し、集まった約80点の中から選ばれたカラーリングが、1961(昭和36)年10月の浜松基地記念式典で一般公開されました。

 ただ、このときの塗装は、3年後の東京オリンピックの際に塗られていたカラーリングとは異なるもので、しかもリーダー(編隊長)機だけあえて違う色を用いるという、ある意味凝ったものでした。

 金属の地肌の上にリーダー(編隊長)機だけは金色、ほかの編隊機は濃い青色の帯を胴体と翼に描き、そこに薄いピンクとライトブルーの帯を組み合わせ、翼下の燃料タンクには「Blue Impulse」と大きく文字を書き込んだ非常に派手なカラーリングだったのです。

Large 20240602 01
初代ブルーインパルス最終年である1981年当時のF-86のカラーリング(リタイ屋の梅作画)。

 ちなみに、リーダー機だけ色を変えるという試みは世界的に見ても珍しいものでした。とうぜん航空自衛隊にとっても初めてとなるため、担当した塗装分隊は大変苦労したといいます。

 なにより、税金で購入した戦闘機、いうなれば国有財産に派手な塗装をするのは規則の面で非常にハードルが高かったはず。あくまでも筆者の推測ですが、のちに参議院議員にもなる源田 実氏の政治力があってこそ、実現したのかもしれません。

【金と銀にピンク!?】わずか2年で消滅「幻のブルーインパルス」塗装を見る

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス
  2. 「春日部」から独立「県内8番目のナンバープレート」実現なるか? 新「ご当地ナンバー」導入へ早くも動き これから各地で?
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. 東京のベッドタウンにできた「道の駅」ウワサ通りの大盛況! 海ないのに「海産物がうまい!」…それこそが人気の秘訣?
  5. 総武線と常磐線を結ぶ「新たな路線」が2030年代後半にも開通へ 最新のイメージが映像で公開! 事業化へ検討加速
  1. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  2. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス
  3. ロシア海軍のステルス艦が「大炎上」 ウクライナの攻撃で撃破される瞬間を捉えた映像が公開
  4. 「春日部」から独立「県内8番目のナンバープレート」実現なるか? 新「ご当地ナンバー」導入へ早くも動き これから各地で?
  5. 空母化進む「最大の護衛艦」がフェリーと並んだ! 大きさの違いが際立つショットを海自が公開