「初の独自エンジンです」100年前に開発された、実に日本らし~い用途 ひしゃくで水ジョボォ~!?
工業製品も立派な歴史の証人
クボタ製エンジンの原点ともいえる「石油発動機A型」ですが、2024年時点で世界に現存するのはわずか5台しかないそうです。展示された個体は、普段はクボタの研修施設で資料として保管され、残りの発動機の一部は国内ではなくイギリスに存在しているそうです。
今回の「CSPI-EXPO 2024」では、この「石油発動機A型」の横に、クボタが開発した最新の水素エンジンが並べられて展示。100年前の初期の国産エンジンと、21世紀の最新エンジンを対比させることで、自社の技術の進歩とその歴史をPRする狙いがあった模様です。
日本国内には歴史に関連した資料やスポットが多数存在しており、その重要性は世間一般に広く認識されています。しかし、その多くが明治維新より前に軸足を置いたもので、明治中期以降の近現代、とりわけ産業分野については、その多くが大量生産された工業品ゆえに軽んじられている印象を、筆者(布留川 司:ルポライター・カメラマン)は常々実感します。
しかし、今回展示された「石油発動機A型」を見てもわかるように、工業製品であってもその誕生には当時の世相が密接にリンクしており、これ自体が歴史の証人ともいえる存在で有ることは間違いないでしょう。
今回のクボタエンジンジャパンの展示は、ただ自社の製品や歴史をアピールするだけでなく、日本の歴史を振り返るうえで近代化産業遺産の重要性も改めて認識させてくれるものでした。
【了】
Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)
雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info
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