史上最多? 驚異の「10人乗り巨大戦闘機」 が全然使えなかったワケ “武装に全振り”した結果

史上最多の乗員数の戦闘機?

 アメリカ陸軍は1942年8月、ベガエアクラフト社に試作機XB-40の開発を発注します。そして1942年11月10日には早くも初飛行を行うと、実戦評価機YB-40を早くも13機発注したのです(後に12機を追加)。

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YB-40護衛戦闘機の各銃座。すべて12.7mm機関銃(画像:アメリカ空軍)。

 YB-40の原型となったB-17Fは、もともと12.7mm機関銃を12門搭載するという重武装を誇っていました。そこでYB-40では、さらなる機銃の増設だけでなく、各銃座の射界や視界の確保などといった改良が盛り込まれました。

 爆弾を投下しないので爆撃照準器を廃止し、機首部に連装ないし4連装機関銃を有したターレットを増設、胴体上部には連装機関銃を備えるボール式ターレットを1基増設し、計2基に強化しています。また、胴体左右の機銃はそれぞれ1丁ずつ追加され、2丁備えた連装式へと改良されました。

 加えて、胴体下部にも連装機関銃を備えるボール式ターレットを原型のB-17Fと同じく配置したほか、尾部銃座も連装ないし4連装機関銃を設置しています。こういった改良により、12.7mm機関銃の搭載数は最低でも14門、最大18門へと大拡張していました。

 なお、爆弾倉も廃止したものの、この部分は機銃弾薬庫に転用した結果、弾薬搭載数は1万1200発(約1.2t)で、これはB-17Fのおよそ3倍にも及んだそうです。

 乗員はパイロット2名、航法士1名、航空機関士兼背部前方ボールターレット機銃手1名、通信士兼背部後方ボールターレット機銃手1名、機首部チンターレット機銃手1名、胴体下部ボールターレット機銃手1名、胴体側面機銃手2名、尾部機銃手1名の合計10名。これは「戦闘機」としては、おそらく史上最も多い乗員数であると思われます。

【確かに機関銃多いわ!】原型B-17F爆撃機とYB-40戦闘機を見比べ(写真)

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