史上最多? 驚異の「10人乗り巨大戦闘機」 が全然使えなかったワケ “武装に全振り”した結果
実戦投入してみたら、出来損ない確定!
完成したYB-40は、1943年5月に12機がイギリスに配備され実戦投入されましたが、護衛対象であるB-17Fに追従できないという失態を犯します。なぜならYB-40は、完全装備のB-17Fと比べて1.8tも重く、さらに銃座を拡張したことで空気抵抗が増えたため、飛行性能が著しく低下していたからです。
結局、8月までに10回のミッションに参加したものの、護衛機としての任務を全うできなかったことから、前戦から引き上げられ開発プロジェクトは中止、量産されることなく終わりました。
飛行性能が十分ではなく護衛できないことは、試験中に判明していたはずなのに、なぜ実戦投入されたのかは非常に疑問ですが、いずれにせよ現場での大不評の結果としてYB-40はキャンセルされ大失敗に終わっています。
ただ、アメリカにとって幸運だったのは、同時期に傑作機として名高いP-51「マスタング」長距離戦闘機が完成し、間もなく実戦投入されたことです。しかもP-51は1人乗りの単発機であったことから製造コストもYB-40の4分の1程度でした。
そのため、もし仮にYB-40の飛行性能が十分だったとしても、コストパフォーマンス(費用対効果)の観点からP-51には太刀打ちできず、小数生産で終わっていたのは間違いないでしょう。
【了】
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。
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