「F-35よりスゴイ」と言い放つ根拠は? トルコ初の国産戦闘機 とにかくデカい!他には?

ソフトウェア開発までできるのか

 機体の大きさはKAANの最大の特徴といってもよく、兵装や航続距離において優位性をもたらす可能性があります。KAANがF-35を上回るという根拠はここにあるとみられ、最大搭載量は10tに達するといいます。

 一方で、F-22やSu-57、J-20といった同等の機体はF110よりも強力なエンジンを搭載しており、これらと比較すると明らかにKAANは低推力です。超音速巡航(スーパークルーズ)能力を有するとされますが、あまり大きく速度性能を引き上げることは難しいかもしれません。

 また、航空戦において生死に直結する火器管制レーダーや電子戦システム、それらを制御する作戦ソフトウェアといったより重要な要素がトルコに開発できるのかは未知数です。

 トルコは軍用の大型ドローンにおいて世界をリードし、特に戦闘能力をもった「TB2」はすでに実戦において高い評価を受けています。さらに高性能な「アクンジュ」も開発するなど、目覚ましい発展を遂げており、その技術力の高さを証明しています。

 他方、有人戦闘機の開発はKAANが初めてであり、戦闘における核心的なシステムの開発と、戦闘機としての統合においてどこまでやれるのか、大きな課題となるでしょう。

Large 240530 kaan 02

拡大画像

無人航空機システム「バイラクタルTB2」(画像:バイカル・テクノロジー)。

 トルコの航空宇宙産業にとって、KAANは大きな挑戦であると同時に大きな進歩をもたらすことが期待されています。しかし、機種を問わず戦闘機の開発はスケジュール通り進まないことの方が多いことを考えるならば、KAANもその例に漏れず開発は難航することになる可能性があります。

 2030年代初頭には実用化し、その後は空軍への配備が計画されていますが、KAANがF-35を凌駕する搭載性能を実現し、トルコ空軍の主力戦闘機となるのか、それとも開発の難航により頓挫してしまうのか、注目されます。

【了】

【写真】大空を行く初の国産戦闘機「KAAN」

Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。