「オスプレイ100年使いたい!」米軍高官が明言 生産終了なのにナゼ? 自衛隊も他人事ではない延命問題

前例は「チヌーク」輸送ヘリ

 したがって、「オスプレイ」が持つ能力を、現在と同じように将来にわたって維持することを要望するなら、既存の「オスプレイ」をリフレッシュし寿命を延長することが最も現実的な選択肢だと言えるでしょう。

 どのような近代化改修が行われるかは未定ですが、機体構造、すなわち「殻」以外、エンジンやギア、プロップローター、搭載電子機器など全て交換することになるのではないかと推測されます。

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アメリカ本土で飛行訓練中の「オスプレイ」2機。手前のが陸上自衛隊の機体で、左下奥のはアメリカ海兵隊機(画像:陸上自衛隊)。

 なお、こうした改修はすでにCH-47「チヌーク」で行われています。例えばアメリカ陸軍が運用する機体には、1960(昭和35)~70(昭和45)年にCH-47Cとして生産された後で20年の寿命延長が行われてCH-47Dへとアップデートし、さらに20年の寿命延長が施されてCH-47Fとなったものが多数存在します。

 もし、本当に「オスプレイ」を100年運用する場合、「チヌーク」のように機体以外全てを載せ替える寿命延長を複数回行うことになるでしょう。

「オスプレイ」は前述したように日本も採用し、陸上自衛隊で運用しています。同機の生産中止が直ちに影響を及ぼすようなことはないでしょうが、離島防衛を始めとして、国防のために飛ばし続ける場合、アメリカ海兵隊の高官が明言した、100年運用するための改修は、わが国でもいずれ検討すべき課題になると考えられます。

【了】

【機内に入ったことある?】これが「オスプレイ」の操縦席です(写真)

Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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