米軍「あれにはやられた」 大戦末期の旧日本海軍がとった「奇跡の作戦」とは “強運艦オールスターズ”集結

制空権、制海権ともに失い、本土空襲も激しさを増していた1945年2月、南方戦線から日本本土までを決死の覚悟で資源を輸送した部隊がありました。その名も「完部隊」。本当に任務を遂行したこの作戦は、奇跡でもありました。

奇跡は偶然ではなかった

 完部隊は長期の悪天候が予報されているタイミングを見計らい、1945年2月10日にシンガポールを出港。省エネの速力16ノット(約29km/h)で広島県の呉を目指しました。

 日本のシーレーンは連合軍の監視下にあり、完部隊もすぐにイギリス潜水艦「タンタラス」に捕捉されます。11日に攻撃を仕掛けますが、日本軍機に撃退されました。以降12日からアメリカ海軍潜水艦が次々に接触を試みますが攻撃位置に付けず、わずかなチャンスで実施された魚雷攻撃もかわされました。

 13日と14日にはアメリカ陸軍航空隊のB-24、B-25爆撃機が来襲しますが、2回とも悪天候に阻まれました。また13日にはアメリカ海軍潜水艦3隻が相次いで雷撃するもすべて回避され、「伊勢」は向かってくる魚雷を高角砲で撃破するという芸当も見せています。

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航空戦艦「伊勢」。後部主砲塔2基を撤去して、22機を搭載できる飛行甲板を設置したが、その能力は生かされなかった(画像:アメリカ海軍)。

 連合軍が完部隊に差し向けた潜水艦は計26隻、航空機は計88機に及びましたが、フィリピン北西部のリンガエン湾にいたアメリカ海軍の戦艦4隻は沖縄侵攻支援準備のため出動せず、最後の攻撃となったのは16日午前5時の潜水艦「USSラッシャー」による6発の雷撃でしたが、完部隊はこれも回避したのでした。

 こうして完部隊は2月20日、損害を受けずに呉へ入港したのです。全滅も覚悟していた海軍は文字通り狂喜乱舞しました。

 アメリカ潜水艦隊司令長官のファイフ大将は「奇跡」の原因が完部隊の速度が速かったこと、日本海軍の艦艇が潜水艦のレーダー探知機を装備していたこと、そして悪天候が奏功したと分析しています。また運も味方したようですが、強運艦といわれるフネには共通して艦内に「よい空気感」があり、乗組員の技量、士気から艦内整理・整頓・清掃・清潔の「4S」までが良好で、奇跡は偶然ではないともいわれています。

【航路図】「奇跡の作戦」はどのようなルート?

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