ベストセラー戦車の最新型「もういいです」イタリア向け3国共同開発が頓挫か “乗り換え先”の戦車とは

イタリア陸軍が導入を計画していたレオパルト2戦車の新型について、伊独仏3か国のパートナーシップが決裂と報じられました。これにより複数の調達計画が暗礁に乗り上げた可能性がありますが、代替も考えられているようです。

新型レオパルト2だけじゃない 伊独仏の協力関係にヒビ

 イタリア陸軍の新型戦車計画が暗礁に乗り上げたようです。韓国の中央日報は2024年6月11日、複数の関係者の話として、伊独仏3か国の企業による「レオパルト2A8 IT」戦車の共同開発と共同生産を中核とするパートナーシップ締結交渉が決裂したと報じました。

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レオパルト2A8(画像:KMW)。

 同戦車はイタリアのレオナルドならびに、ドイツのKMW(クラウス・マッファイ・ヴェクマン)、フランスのネクスターによる合弁企業KNDSの両社が共同開発し、イタリアが導入する計画です。交渉決裂の原因として中央日報は、レオパルト2A8ITにイタリア企業が生産する部品を供給することをめぐる意見の不一致が原因であると報じています。

 イタリア国防省は2023年10月18日に、2025年までの複数年度の国防計画について記した防衛計画書(Documento Programmatico Pluriennale:DPP)を発表しています。レオパルト2A8のイタリア仕様「レオパルト2 A8IT」132両と最大140両の支援車両の調達はそこに明記されていました。また、ドイツとフランスの合同プロジェクトで、KNDSが開発と製造を主導する次世代地上戦闘システム「MGCS」についても、イタリアが協力していくことが含まれていました。

 しかし今回の交渉決裂によって、イタリア陸軍へのレオパルト2A8とその支援車両の導入、MGCS開発への協力だけではなく、DPPに盛り込まれていた、イタリア陸軍の新歩兵戦闘車の開発と製造についての、KNDSとレオナルドの協力関係構築に向けた話し合いも打ち切られたようです。

 KNDSとレオナルドの交渉決裂が、そのままイタリア陸軍の戦闘車両の更新にフランス・ドイツが協力しないことを意味するものではありませんが、イタリア最大の防衛企業であるレオナルドがKNDSとパートナーシップを構築しないという決断を下したことで、イタリア陸軍のKNDS製車両による戦闘車両の更新は、頓挫を余儀なくされたと言って差支えないと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。

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