「渋谷と御茶ノ水、ますます“谷”になってないか…」 再開発で「深く」なる都心のターミナル駅
川縁りの御茶ノ水駅 工事も一苦労
御茶ノ水駅は1932(昭和7)年に総武本線の分岐駅となる際に、駅が若干東側へ移動したものの、2面4線の狭い島式ホームとなっていました。駅は戦前の構造のまま昭和から平成へと受け継がれましたが、バリアフリー化の改良工事が施工できないほど狭く、抜本的な改良が必要となっていました。
そこで2012(平成24)年から改良工事に着手。駅本体の工事を開始する前に、下準備として神田川に仮の桟橋を架けるところから始まりました。谷間の狭隘地には大型クレーン車も配備できないほど。そのために桟橋が必要でした。
御茶ノ水駅は様相がガラッと変化しました。桟橋の上に大型クレーンが配備され、2本の島式ホームにアンカーを埋め込み、ホーム屋根上に人工地盤を建設。そしてホームを覆うようにコンコースをつくり、エスカレーターやエレベータを設置してバリアフリー化工事が行われていきました。
工事はまだ完了しておらず、神田川の桟橋も残っています。今後はコンコースの工事が進行し、完成は2025年が予定されています。
2か所の谷間にあるターミナル駅再開発状況を駆け足で紹介しました。開発はまだまだ途中であり、2023年5月の姿もすでに過去のものとなっています。気がついたら新しい街と駅へと激変しているのは、この国の都市ならではの姿といえましょう。
【了】
Writer: 吉永陽一(写真作家)
1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。
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