このままでは乗り換えが永久固定… 西九州新幹線を全通させるには “全く別ルート”の方がメリット大?
未完成である西九州新幹線の武雄温泉~新鳥栖間は、佐賀県の反対で建設の目途が立ちません。現状のままでは武雄温泉駅での乗り換えが必須ですが、何とか全通できる方策を考えてみました。
佐賀県を通らないルートへ変更してはどうか
佐賀県としては、新幹線建設と引き換えに特急や快速が多数走る長崎本線を第3セクター鉄道にされたり、仮にJR九州のまま維持されても、在来線特急を削減されたり、新幹線化で特急料金を値上げされたりすることを危惧しています。建設費の負担に見合うメリットを感じないというのは無理もありません。
新幹線がつながれば、佐賀県内の武雄温泉、嬉野温泉への集客にはメリットがありますが、やはりデメリットの方が大きいわけです。
なお、西九州新幹線の利用状況は2022年9月~2023年4月で、2018(平成30)年の在来線特急「かもめ」と比較して102%。1日当たりの利用人数6600名は、国が予測した7314名を下回り、新幹線開通といえど増えていません。鉄道・運輸機構は西九州新幹線の年間維持費を90億円としており、西九州新幹線の売り上げが年間50億円程度ですから、年間40億円程度の赤字と考えられます。
今後、佐賀県の求めるフリーゲージトレイン開発が成功したとしても、国の予測では博多~長崎間が1時間20分、新大阪~長崎間では3時間53分です。博多駅からだと乗り換えが解消される以外は現状と変わりませんし、新大阪駅からだと飛行機と勝負にならず、運行する意味が薄いと言わざるを得ません。なおフル規格新幹線が全通した場合は、博多~長崎間が51分、新大阪~長崎間が3時間15分です。
筆者(安藤昌季:乗りものライター)は時間がかかっても、ルートを変更するのが望ましいと考えます。「佐賀県を通らないルート」ということです。
仮に、諫早駅(長崎県諫早市)で新幹線を分岐させ東へ真っすぐ延ばし、長崎本線の小長井駅(同)付近から海底トンネルか橋梁で有明海を抜け、大牟田駅(福岡県大牟田市)付近に上陸すれば、通過するのは長崎県と福岡県だけで済みます。
海上部は18kmほどですが、水深が10m程度と浅い海域のため、難工事とはならないでしょう。事前に造った構造物を沈める沈埋(ちんまい)工法による建設が可能で、通常のシールド工法より経費は安いと考えられます。
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