「ナナメ前が見えづらい!」そんなクルマがなぜ増えたのか 未だに続く改善の試行錯誤

ドアミラーもジャマ!

 そして、ナナメ前方の視界が悪くなるもう一つの要因となるのが、ドアミラーです。日本でドアミラーが使われるようになったのは1983年から。それ以前は、ドアミラーが許されておらず、フェンダーミラーが使われていました。

 今でも「ジャパンタクシー」が、タクシー業界の強い要望からフェンダーミラーを採用していますが、実際にフェンダーミラーのクルマを運転してみると、後ろを確認するときの視線移動がドアミラーよりもフェンダーミラーの方が短いことに気づくはずです。実用性という意味では、ドアミラーよりもフェンダーミラーの方が勝ります。それでも1983年の解禁以来、乗用車のほとんどはドアミラーを採用するようになりました。

 それはドアミラーの方が、格好がよいからです。フェンダーミラーよりも、ドアミラーの方が見栄えが良いということで、あっという間に世の中はドアミラーばかりとなってしまったのです。しかも、ドアミラーをAピラーの付け根に配置するのが、もっともスタイリッシュに見えます。ですから、1980年代や90年代のクルマのほとんどは、ドアミラーがAピラーの付け根に設置されていました。

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昔のクルマはドアミラーでもピラーが細く、三角窓もついているのが一般的(乗りものニュース編集部撮影)。

 つまり、安全性を高めるためにAピラーは太くなり、一方で、格好良くするためにドアミラーはAピラーの付け根に配置されました。その2つの結果として、“ナナメ前”の見えにくいクルマができ上がったのです。後ろをよく見えるように、ドアミラーを大きくすれば、さらに“ナナメ前”の視界は悪化します。

【写真で比較】確かに良くなった歴代フリードの「前方視界」(写真)

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