自国より“強い”戦闘機を輸出して大丈夫なの!? ただし高性能すぎてもダメ 同一機種なら強いのはドッチか

兵器の世界には「モンキーモデル」と呼ばれる、自国軍向けよりも性能の劣る外国専用モデルというものがあります。ただ、戦闘機においては、いまやそういうものはないとか。廉価版を作るメリットとデメリットとは何でしょうか。

外国専用モデルを作って失敗した例も

 ロシア製戦闘機も例外ではありません。Su-27系列は2000年代における輸出型、たとえばインド向けのSu-30MKIや、その派生型は自国ロシア空軍向けよりもずっと高性能で、ロシア空軍に同等の機体が配備されたのは2010年代に入ってからのことでした。

 では、なぜ輸出機の方が自国軍向けよりも強力な場合があるのでしょうか。

 その理由は、世界の戦闘機市場が「買い手市場」だからといえます。戦闘機を購入する国は、自国の防衛戦略や予算に基づいて機種を選定するため、性能や価格、アフターサービスなどを総合的に比較検討します。

 もし、自国空軍向けに性能を低下させた輸出機が販売された場合、たとえば性能低下型F-16を提案した場合、フランスの「ラファール」や欧州共同開発の「ユーロファイター」といった、他国のフルスペックの機種に契約を取られてしまい、コンペに敗れる可能性が高いでしょう。

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航空自衛隊のF-15J戦闘機。採用を決めた後で、開発元のアメリカから自己防御用アビオニクスに関して輸出制限をかけられ、日本は独力で開発するはめになった(画像:航空自衛隊)。

 しかし、輸出向けに性能を高めることもやり過ぎた場合は失敗に終わってしまうこともあるようです。一例をあげると、ダッソー「シュペル・ミラージュ4000」は「ミラージュ2000」と同じエンジンを双発搭載し2倍の性能を有していることをアピールしました。

 ほかにも、ノースロップ(現ノースロップ・グラマン)は艦載戦闘機F/A-18「ホーネット」の輸出専用モデルとして、陸上運用するために不要な装備品や過剰すぎる強度を低減し軽量化、F/A-18L(F-18Lとも)という性能向上型を開発しています。

 ところがシュペル・ミラージュ4000もF/A-18Lも開発した本国が採用しなかったことから信頼性において実績を積めず、どこの国にも採用されずに終わりました。

 戦闘機市場において輸出で成功するには、本国仕様の機体と少なくとも同等以上の性能を持つことが求められます。ゆえに、いちから派生型を開発するといった場合はリスクが上回ってしまい、うまくいかないことが少なくないようです。

【了】

【写真】これが幻に終わった輸出専用モデル「スーパー・ミラージュ」です

Writer:

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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