世界初のヘリコプターいつ飛んだ? 回転翼機の飛行とっても難しいワケ「言ったもん勝ち」の過去も
1930年代にようやくモノに
初めて完全に制御されたヘリコプターの先駆けとなる機体が登場したのは1936年のこと。ドイツのハインリヒ・フォッケとゲルト・アハゲリスによって開発されたFw61です。
また、Fw61のデモフライトを見学していたロシア系アメリカ人のイゴール・シコルスキーは、1939年に1つのメインローターと、反作用トルクを打ち消すテールローターという現在のヘリコプターの元祖ともいえる設計をもったVS-300を開発します。こうして、ヘリコプターはようやく何かに供する目的を果たせる乗りものとして、そのスタートラインに立つことができるようになりました。
シコルスキーは、ヘリコプターが人類の生活を一変させると信じていました。自動車はヘリコプターに取って代わられ、何百万人もの人々が朝には空を飛んで出勤し、夕方には同じようにして家へと帰る。そして休日には空でレジャーを楽しみ、人々は鳥になる喜びを知るだろうと考えていました。
残念ながら、シコルスキーの夢みた誰もがヘリコプターで気軽に空を飛ぶ時代は、VS-300が誕生してから100年経った現在も実現しておらず、その兆しも当面考えられそうにありません。
しかし、ヘリコプターのパイオニアたちが失敗を恐れず挑戦し成し遂げた偉業は、産業や人命救助、または軍用としてヘリコプターが不動の地位を得るに至っています。
【了】
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。
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