すでに全国で2万台!「郵便バイク」EVになった感想は? 現場職員が本音を吐いた

ホンダ「スーパーカブ」シリーズとともに日本郵便が配達用に使用しているのが、電動スクーターの「BENLY e:PRO」です。果たして現場で働く人の評価はどうなのでしょうか。郵便局員に話を聞いてみました。

BENLY e:PRO郵便局員の評判は?

 電動バイクで気になるのはやはり航続距離です。BENLY e:IPROは100km(30km/h定地走行テスト値)、BENLY e:IIPROは55km(同)がカタログ公表値となります。地域によっても異なりますが、郵便局員が1日に配達で移動する距離は25~70km程度。都市部は移動距離が短く、地方は長くなる傾向にある模様です。

 BENLY e:PROのカタログを見る限り、おおむね1日の配達距離を賄えるように思われるかもしれませんが、交通状況やバッテリーの劣化具合によってはそれよりも航続距離が短くなることも珍しくはなく、またスレスレの状態で走って電欠になるリスクを避けるため、午前の配達業務が終わると昼休憩前に追加充電(休憩中の1時間分)、あるいはバッテリーの交換を行っているそうです。

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現在郵便局で使用されている「スーパーカブ50MD/110MD」は市販車の「スーパーカブPRO」をベースにした郵便局向けの特別仕様車だ(画像:ホンダ)。

 一方で、バッテリーの重量は約10kgと重いため、充電のための脱着作業を煩わしく感じる郵便局員もいるようです。ただ、その反対に「ガソリンスタンドでの給油や会計処理の手間が減ったのはありがたい」と感じている郵便局員もいるとのことなので、ここは意見の分かれるところなのでしょう。

 また、静粛性の高さがウリの電動スクーターですが、ゆえに人通りの多い混雑した繁華街を走るときは、前方の歩行者がバイクの接近に気がつかないことも多々あるといいます。20km/h以下になると擬似走行音が発せられるものの、雑音の多い場所ではかき消されてしまうようで、運転に神経を使うケースもあるようです。

 とはいえ、ハナシを聞いた郵便局員によると今のところ使用中に大きなトラブルが発生したことはないとのことなので、そこは天下のホンダ製ということで必要十分な信頼性は確保されているように筆者(山崎 龍:乗り物系ライター)は感じました。

【了】

【電動化はバンも】三輪も四輪もある郵便局のEVたち(写真)

Writer:

「自動車やクルマを中心にした乗り物系ライター。愛車は1967年型アルファロメオ1300GTジュニア、2010年型フィアット500PINK!、モト・グッツィV11スポーツ、ヤマハ・グランドマジェスティ250、スズキGN125H、ホンダ・スーパーカブ110「天気の子」。著書は「萌えだらけの車選び」「最強! 連合艦隊オールスターズ」「『世界の銃』完全読本」ほか」に

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