【空から撮った鉄道】たった2駅が長い道のり!? 悲願の延伸開業 田園地帯は大きな街に

北大阪急行電鉄南北線は、大阪メトロ御堂筋線の江坂駅から千里中央までを結ぶ路線です。2024年3月に北方向へ2駅間が延伸し、箕面萱野駅まで開通しました。今回は短い延伸開業区間の空撮です。

この記事の目次

・約半世紀の時を経て全線開業
・大阪関西万博ラッピング車を空から!
・ニュータウンを形成 空港も遠目に見える

【画像枚数】全11点

約半世紀の時を経て全線開業

 北大阪急行電鉄南北線は2024年3月に千里中央~箕面萱野間が延伸しました。2駅と短いうえ、開業区間の半分ほどは地下のため、空撮できる場所は限られますが、最初の開業から54年の時を経て延伸し、令和の世になってついに全線開業したその姿を捉えに飛びました。

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南東方向から見た箕面萱野駅は新御堂筋に面している。ショッピングモールやスーパーマーケットと直結し、東側にバスロータリーが設置されている。背後は箕面山である(2024年5月22日、吉永陽一撮影)。

 北大阪急行電鉄は、大阪府や阪急電鉄などが出資した第三セクター鉄道で、唯一の路線である南北線は大阪メトロ御堂筋線と直通運転しています。1970(昭和45)年、世の中は大阪万博開催で沸いており、この路線も万博アクセス路線として開業しました。

 御堂筋線の終点、江坂駅から延伸する形で北方向へと線路を延ばし、万博開催期間中は会場まで直通。万博終了後は会場から本線の分岐点までを廃止撤去して、代わりに千里ニュータウンの千里中央駅まで延伸、同年9月に江坂~千里中央間が開業しました。以後、南北線は何十年に渡って千里中央駅が終点となったのです。

 一方、千里中央駅の先にある箕面市は、北に箕面山を配し、田園地帯や竹林は宅地化が進んで大きな街へと発展しました。大阪市内船場地区の繊維卸商が同地へ集団移転し誕生した大阪船場繊維卸商団地や、オフィスを構える企業も増えていきました。こうした発展の一方で、鉄道は阪急箕面線があるくらいで、交通の主流はというと、路線バスとマイカーでした。

 南北線の延伸は、箕面市にとっても悲願でした。1970年の開業当初から延伸が計画され、行政の審議や答申に上がりながらもかなりの年月が経過し、2008(平成20)年に大阪市、箕面市、阪急、北大阪急行の4者で、延伸事業化に向けて協力をする覚書を結びました。その後は延伸に向けての計画と検討が進んでいき、2017(平成29)年1月に起工式へと漕ぎ着けたのです。

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Writer: 吉永陽一(写真作家)

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。

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