【空から撮った鉄道】熊本の路面電車の「日本初」を狙う “パンタのついた銀座線”もいた!
熊本市内には熊本市電と熊本電鉄の路線があります。2021年7月26日、うだるような暑さのなか市内をぐるぐると旋回し、2つの鉄道を空撮しました。とにかく暑かった1日の記録です。
この記事の目次
・効率よく、市電も熊電も撮っていく
・大きな車両が併用軌道を行く黒髪町
・高い建物も多い市中心部
・復興のシンボル熊本城を絡めて
【画像枚数】全22点
効率よく、市電も熊電も撮っていく
2021年7月は、まさに酷暑といっていいほどの暑さでした。気温は35度を越え、空撮するにはちょっと、いや、かなりキツそうな気温です。セスナ機やヘリは空を飛ぶから涼しそうに思われますが、たしかに高度が高ければ高原並みの涼しさであるものの、低い高度は地上と大差ありません。おまけに窓は開いてもクーラーはなく、空撮も汗だくになります。
26日、暑さの盛りである熊本市内を訪れました。市内はところどころ雲が点在し、地上から見たらよく晴れた夏の日。豊肥本線の立野スイッチバックの撮影を終え、セスナ機は熊本空港の北側から市内へと進入しました。雲は多めですが、撮れないことはない条件です。本当は雲影がない方が最良なのですが、色々な理由があって妥協し、このような気象条件での空撮となりました。
撮影するのは熊本市電と熊本電鉄です。熊本市交通局熊本市電は、A系統とB系統の2系統から成り、田崎橋~熊本駅前~辛島町~健軍町間がA系統、上熊本駅前~辛島町~健軍町間がB系統です。熊本電鉄は上熊本~北熊本~御代志間の菊池線と、北熊本~藤崎宮前間の藤崎線の2路線です。熊本市電は全線を、熊本電鉄は北熊本、上熊本、藤崎宮前で狙いました。
大きな車両が併用軌道を行く黒髪町
熊本市電は日本初のものがいくつかあり、1978(昭和53)年の冷房車誕生はその代表例です。日本初のVVVFインバーター制御、超低床車両、サイドリザベーション方式など、車両やインフラの新方式をいくつも導入してきました。サイドリザベーションは、例えば道路中心にあった軌道を両サイドの歩道脇へと寄せるといった、利用者目線に立った軌道の改修で、最近では札幌市電のすすきの付近が有名ですね。熊本市電の空撮では、日本初のものを可能な限り押さえていこうと思いました(さすがにVVVFインバーター制御は無理でしたが……)。
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Writer: 吉永陽一(写真作家)
1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。