お隣に機関車あげちゃって大丈夫? 奮闘する真岡鐵道「SLもおか」 御年90のSLが爆走!

細かい点で「こうするとよいかも!」

 車窓は田園風景が美しく、五行川や小貝川も目を楽しませます。12時6分、終点の茂木駅到着。機関車はすぐ切り離され、転車台で方向転換を行いました。なお筆者はかつて、駅そばを食べていて見逃したことがあります。

「SLもおか」は非冷房でSLの現役時代に近い列車ですし、「SLキューロク館」もコンテンツが充実しており、決してほかのSL列車+観光要素に劣らぬ楽しさがありました。SL整理券がほかの鉄道より安いのも魅力といえます。

 ただ、テコ入れが必要とも感じられました。もちろん乗車した日が全てではないですし、年によってSLの運行日数には若干の差があるのですが、2024年の「SLもおか」は運行日数が88日。今回乗車した2回のように、1回60人程度の乗車が平均だとしたら、2015年の3分の1である年間1万560人しか利用がないことになってしまいます。困難とは承知しつつ、攻めの姿勢が必要と感じました。

 利用の多くを占める一般の家族連れにとっては、夏季の非冷房車は負担でしょうし、現状で弁当の販売もありません。例えば夏季は、モオカ14形気動車を「客車」として連結するなどできないでしょうか。JR東日本の「SL銀河」のように、気動車のエンジンで補助すれば、SLの負担軽減にもなるでしょう。

 また、「SLもおか」の到着時刻と「SLキューロク館」のSL体験時刻が、必ずしもリンクしていません。真岡駅で下館行き「SLもおか」を降りても体験できる時刻に運行するなど、幅広い集客に考慮した方がよいですし、「運転席でSL運転を体験できる」という何よりの魅力は、ホームページや現地でより周知されてよいと思います。

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SL型をした特徴的な駅舎「SLキューロク館」を併設する真岡駅(安藤昌季撮影)。

 インターネットではSL整理券だけでなく、真岡鐵道全区間で使える1日乗車券も販売してはどうでしょうか。沿線の様々な施設への利便性を上げ集客する、ほかにも茂木駅の転車台が使われる時刻を告知するといった策も有効かもしれません。

 近隣の「SL大樹」が1日4往復されていることを活かして、「1日で両方のSLに乗れる」ツアー開催など、イベントでの集客もありでしょう。

 30周年を迎えた「SLもおか」が、今後も安定して運行されることを願ってやみません。

【了】

【写真】SLに引かれたレトロな客車車内を見る

Writer: 安藤昌季(乗りものライター)

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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