アメリカでは「終戦=9月2日」のワケ ハワイの“巨大戦艦”が物語る、アメリカにとっての「開戦」と「終戦」
アメリカにとっての戦争の「はじまり」と「終わり」の地
ちなみに、「ミズーリ」が停泊している真珠湾は、アメリカにとっての第2次世界大戦が始まった場所でもあります。1941(昭和16)年12月8日、日本海軍の空母機動部隊が艦載機による奇襲攻撃を仕掛け、4隻の軍艦が撃沈されたほか、多数の艦艇や航空機が損傷をこうむりました。いわゆる「真珠湾攻撃」です。
この真珠湾攻撃において撃沈された戦艦のうちの1隻である「アリゾナ」は、現在でも真珠湾の海底で約1000名の乗員の魂と共に眠っています。そして、じつは「ミズーリ」は、その艦首を「アリゾナ」の艦首の方向に向けて、互いに向かい合うような形で停泊しています。
これは、アメリカにとって「戦争が始まった場所」の象徴である「アリゾナ」と、「戦争が終結した場所」である「ミズーリ」とを組み合わせ、戦争の始まりと終わりというストーリーをこの場所に表現しているのです。
【了】
Writer: 稲葉義泰(軍事ライター)
軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。
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