日本の次期戦闘機の“全貌”見えてきた! 実物大モデルに肉薄 新設計の狙いとは とにかくデカい!
なぜここまで大きくなったのか?
GCAPのフルスケール・モデルが展示されていた会場内では、兵器倉を描いた動画も流れていました。
そこには、胴体下で左右に分かれ、各々外側の側面にかけて1枚構成のドアを開ける様子が。搭載されていたのは、ドア内側に欧州製らしき空対空ミサイル、兵器倉内に計8発の小直径の有翼滑空爆弾でしたが、空対空ミサイルより長い兵器を収めることも出来るように見受けられました。
英国側の担当メーカーで、フルスケール・モデルの公開に踏み切ったBAEシステムズは、7月に東京で事前に行われた説明会で「設計の最中であり最終的な形状ではないものの、現在考えている要素をある程度反映した形」と今回公開された機体デザインについて説明しています。しかし、ここまでGCAPのフルスケール・モデルが大型化したのは、航続距離の延長を狙ったためなどと見られます。このほか会場から聞こえた意見として、「発電力の強化」がありました。
GCAPをはじめとした第6世代の戦闘機は、遊軍間で高度なネットワークを構築し効率的な敵の排除を狙っています。それには高性能のコンピューターと高出力の電力が欠かせません。そのためにエンジンの大型化、あるいは、消費燃料の確保へ、機体を大型化したというのです。これが的を射ているのなら、エンジン開発の進み具合もポイントでしょう。
大柄な機体は、日本がこれまでに開発したF-1、F-2戦闘機と大きく異なります。F-1・F-2は配備数から考えて、航空自衛隊の「主力」戦闘機とは言えませんでした。一方、日本国内には常に、海外から導入した機体を上回る国産機をつくりたいという願いがあります。
国際共同開発とはいえGCAPが期待通りに完成すれば、GCAPの航空自衛隊への配備数は、近い将来、空自が導入を進める最新鋭のステルス戦闘機F-35のそれを、さらに上回る可能性が出るかもしれません。それもあわせて、開発の進み具合へより関心が集まるでしょう。
【了】
Writer: 相良静造(航空ジャーナリスト)
さがら せいぞう。航空月刊誌を中心に、軍民を問わず航空関係の執筆を続ける。著書に、航空自衛隊の戦闘機選定の歴史を追った「F-Xの真実」(秀和システム)がある。
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