今年は青森だ! 伊空軍の「赤い悪魔」戦闘機が戻ってきた 新顔「タイフーン」も一緒

やっぱり再来日した「赤い悪魔」

 ユーロファイター「タイフーン」戦闘機と同じく、三沢基地に降り立ち航空自衛隊のF-35A戦闘機と同じ機材どうしで共同訓練を行ったイタリア空軍のF-35Aにも、伝統を背負った部隊マークが垂直尾翼に描かれていました。実は今回参加したイタリア側のF-35Aに描かれていた部隊マークは、昨年に小松基地へ飛来したものと同じものだったのです。

 1機は「赤い悪魔」と呼ばれ、第2次大戦前からイタリア空軍戦闘機隊で使用された部隊章で知られる第6航空団132戦闘爆撃群所属の「6-03」号機でした。残る3機は、「襲撃する鷲」マークの第32航空団第13戦闘機群所属の「32-10」号機と「32-19」号機、そして「32-20」号機でした。

 どちらの機体も、現在では各国空軍機で主流の、視認性を下げる目的のいわゆる「ロービジ塗装」が多用されており、ゆえに第6航空団の所属機は赤くない「赤い悪魔」が電光デザインと共に垂直尾翼上に描かれています。ただ、昨年に小松で確認できたのは「赤い悪魔」マークの方が「6-04」号機で、「襲撃する鷲」マークについては「32-06」号機と「32-15」号機でした。

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共同記者会見が行われた格納庫前のエプロンに整列した、3機のイタリア空軍所属のF-35A戦闘機。手前の「6-03」号機の垂直尾翼には、ロービジ塗装で描かれた「赤い悪魔」の部隊マークが見える(吉川和篤撮影)。

 このように見比べてみると、昨年と今年では同一部隊ながら異なる機体が遠路はるばる来ていることがわかります。おそらく、この機番の違いは、できるだけ多くの機体とパイロットに、日本までの長距離飛行と他国での訓練といった経験値を積ませようという目的からだと推察します。

 なお、昨年、小松基地に飛来した際も筆者(吉川和篤:軍事ライター/イラストレーター)は取材しましたが、そのときの記事でも「きっとまた日本に来る」と確信しており、そのとき感じたことに間違いがなかったのが今回の再来日で証明されました。また今回の共同訓練では、隊員が着用する新たな記念パッチに日本とオーストラリアの地図がデザインされており、その訓練内容や地域に合わせて変化していくこともわかりました。

 これらを鑑みるに、こうしたインド太平洋の安全保障を強化する各国との共同訓練は、来年以降も継続するのは間違いないでしょう。

 なお、8月末にはイタリア海軍の空母「カヴール」と艦上戦闘機バージョンのF-35Bの来日も予定されています。そのため、新たなイタリア戦闘機とともに、新デザインの記念パッチも引き続いて見られるでしょう。どんな部隊マークやパッチが見られるのか、いまから楽しみです。

【了】

【赤白の日本列島も】「赤い悪魔」「襲撃する鷲」マーク、「世界中の空を飛ぼう」パッチを見る(写真)

Writer: 吉川和篤(軍事ライター/イラストレーター)

1964年、香川県生まれ。イタリアやドイツ、日本の兵器や戦史研究を行い、軍事雑誌や模型雑誌で連載を行う。イラストも描き、自著の表紙や挿絵も製作。著書に「九七式中戦車写真集~チハから新砲塔チハまで~」「第二次大戦のイタリア軍装写真集 」など。

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