おーい衛星画像で丸見えだぞ 北朝鮮が“民間航空機”を目隠しして改造中 実はバレバレも狙いのうち!?

1機だけではとても戦力にならない

 もしAWACS改造が成功すれば、空中から広範囲にわたる監視と指揮が可能となり、航空作戦能力が飛躍的に向上するでしょう。北朝鮮の地上レーダー施設は平壌周辺、海岸線、非武装地帯に集中し、探知範囲は中国の遼東半島方面と日本海方向約100kmと見られているので、AWACSを使えば北朝鮮空軍の限られたアセットをより効率的に運用できるようになります。またミサイル発射の遠隔測定データをより精密に収集できるようになるとの指摘もあります。

 とはいえ、AWACSを戦力化するには高度な電子機器の管理と戦闘機や各対空システムとの通信ネットワークなど運用技術が必要であり、北朝鮮がそれを十分に扱えるかは不明です。また、1機だけでは戦力としては不十分です。

 しかし、たとえ実際の運用能力が限られていたとしても、AWACS保有を示すだけで十分な効果があります。ロシアからの技術支援を受けてAWACSを導入することは、北朝鮮とロシアの軍事協力が深化していることを内外に示す強力なメッセージとなります。これは、北朝鮮の軍事力の象徴としてだけでなく、国際社会に対し存在感を示す役割も果たすことが期待されます。

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航空自衛隊の早期警戒管制機E-767。航空自衛隊のみが4機配備している(画像:航空自衛隊)。

 筆者(月刊PANZER編集部)は、人目をはばかるように作業区画をフェンスで囲っておきながら、衛星では捉えられる露天で作業するという一見矛盾した行動の意味もここにあるように思えます。民間機登録している貴重なIl-76を、戦力化できるかわからないAWACSに改造して見せるという決断は、北朝鮮にとって戦略的には大きな意義を持つものです。

【了】

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Writer: 月刊PANZER編集部

1975(昭和50)年に創刊した、40年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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