災害派遣の自衛隊が勝手に私有地へ入っていたのですが… 法律違反では? 彼らに権限はあるのでしょうか

自衛官が一般人に支援依頼をすることも

 最後の「住民等を応急措置の業務に従事させること」とは、読んで字のごとく、付近にいた住民に水防作業や人命救助などの支援を依頼することです。もちろん強制はできず、あくまでも本人の承諾が必要となります。

 万一、住民が二次災害などに巻き込まれてしまった場合には、自治体によって損害補償が行われます。その際には現場にいたことを示す現認書、医師の診断書、事故発生時の見取り図、そして当該業務に従事したことによる事故なのかを認定できる資料が必要となります。

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2024年7月、大雨被害の災害派遣により山形県内で活動する陸上自衛隊第6師団の隊員(画像:陸上自衛隊)。

 災害が広範囲に渡るような現場では、その場に警察官がいない状況というのは、実際よくあることです。どうしても絶対数として警察官の数が限られる一方、派遣されて現場に到着した自衛官の方が多いという状況は、さまざまな場面で想定されます。そのため、警察官がいなくとも、自衛官がスムーズに救助活動を行えるよう、法律でカバーされているのです。

 ただ、あくまでも警察官職務執行法を行使できるのは、その場に警察官がいない場合に限られます。警察が対応可能ならば、自衛官が職権を超えて対処することはありません。

【了】

【派遣目的は!?】これがバックミラーマシマシの「災害対応型戦車」です(写真)

テーマ特集「【ミリタリー】急げ、救え! 自衛隊「災害派遣」の現場にせまる!」へ

Writer: 武若雅哉(軍事フォトライター)

2003年陸上自衛隊入隊。約10年間勤務した後にフリーフォトライターとなる。現場取材に力を入れており、自衛官たちの様々な表情を記録し続けている。「SATマガジン」(SATマガジン編集部)や「JWings」(イカロス出版)、「パンツァー」(アルゴノート)などに寄稿。

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コメント

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1件のコメント

  1. 法律に関する記載に根源的な誤りがあります。

    記事冒頭に「自衛官は国民の生命と財産を守るという自衛隊の使命を遂行するため」とありますが、自衛隊はわが国の平和と独立を守るのが使命であって、国民の生命と財産を守るのは、警察、消防及び海上保安庁の任務です。

    自衛隊法第三条
    自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする。

    警察法第二条
    警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ〜(以下略)

    消防法第一条
    火災を予防し、警戒し及び鎮圧し、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに〜

    海上保安庁法第一条
    海上において、人命及び財産を保護し〜(以下略)

    自衛隊が守るのは国そのものなのです。日本が日本であるために、国防という崇高な使命を負っているのです。個人の生命と財産を守る他の行政組織とは、その存在意義が全く異なります。
    記事の修正を求めます。