災害派遣の自衛隊が勝手に私有地へ入っていたのですが… 法律違反では? 彼らに権限はあるのでしょうか
地震や台風などで大規模な災害が発生すると頼りにされる自衛隊の災害救援部隊。ただ、武力事態でもないのに、一般人の土地に無断で入ったり、家屋を撤去したりできるのは、どういった法的根拠からなのでしょうか。
自衛官が一般人に支援依頼をすることも
最後の「住民等を応急措置の業務に従事させること」とは、読んで字のごとく、付近にいた住民に水防作業や人命救助などの支援を依頼することです。もちろん強制はできず、あくまでも本人の承諾が必要となります。
万一、住民が二次災害などに巻き込まれてしまった場合には、自治体によって損害補償が行われます。その際には現場にいたことを示す現認書、医師の診断書、事故発生時の見取り図、そして当該業務に従事したことによる事故なのかを認定できる資料が必要となります。
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災害が広範囲に渡るような現場では、その場に警察官がいない状況というのは、実際よくあることです。どうしても絶対数として警察官の数が限られる一方、派遣されて現場に到着した自衛官の方が多いという状況は、さまざまな場面で想定されます。そのため、警察官がいなくとも、自衛官がスムーズに救助活動を行えるよう、法律でカバーされているのです。
ただ、あくまでも警察官職務執行法を行使できるのは、その場に警察官がいない場合に限られます。警察が対応可能ならば、自衛官が職権を超えて対処することはありません。
【了】
Writer: 武若雅哉(軍事フォトライター)
2003年陸上自衛隊入隊。約10年間勤務した後にフリーフォトライターとなる。現場取材に力を入れており、自衛官たちの様々な表情を記録し続けている。「SATマガジン」(SATマガジン編集部)や「JWings」(イカロス出版)、「パンツァー」(アルゴノート)などに寄稿。
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