法律違反じゃないの?「地面スレスレを飛ぶ自衛隊ヘリ」実は問題ない場合も
市街地上空でも頻繁に見るヘリコプターの低空飛行ですが、航空法で厳格に「最低安全高度」というものが定められています。ただ、その規定が免除になることも。それが人命救助などだとか。自衛隊のヘリコプターを例に説明します。
パイロットが遵守すべき「最低安全高度」って?
いつ発生するかわからない大災害。そういった際に頼りになるのが、自衛隊の航空部隊です。
陸海空自衛隊は、それぞれが航空部隊を持っています。彼らは普段、航空法の規定内で航空機を飛ばしており、特に同法第81条に規定されている「最低安全高度」は厳守しています。
たとえば人口密集地であれば、自機を中心に水平距離600mの範囲内にある最も高い障害物の上端から300m以上の高度での飛行が原則であり、これは全てのパイロットが厳守しなければならない数値です。
具体的には、自機から500m離れた位置に地上100mのビルがあれば、最低地上高度は400mとなります。
この300mから400mの高さを普段の生活に当てはめると、超高層ビルの最上階付近から地上を見るイメージだといえるでしょう。展望台などは揺れませんが、飛んでいるヘリコプターの機内は常に上下左右に振動しています。そのため、大規模災害時などで、その状態で上空から地上にいる人員を探すことは極めて困難といえるでしょう。
そこで、救助活動が迅速に行えるように、航空法81条の2では「捜索または救助のための特例」として「国土交通省令で定める航空機が、航空機の事故、海難その他の事故に際し、捜索または救助のために行う航行については適用しない」としており、なおかつ81条の但し書きで「国土交通大臣の許可を受けた場合は、この限りではない」と明記しています。
つまり、警察や消防、そして自衛隊のヘリコプターは、人命救助のためであれば、最低安全高度の適用が除外されるということです。これにより、被災者を探し出すためなら、地上スレスレを飛行し、最低安全高度以下でも空中停止するなどして救助することが可能です。
この適用除外のタイミングとして最もわかりやすいのが、都道府県知事などによる「災害派遣要請」の有無になります。
災害派遣要請があったということは、被災自治体がSOSを発信しているということになります。つまり、非常事態なワケです。
この明確でわかりやすい判断基準は、全ての自衛隊パイロットや整備員、管制官などが頭の中に叩き込んでいる観点だといえるでしょう。
コメント