戦後最悪の台風! 初の自衛隊と米軍による共同作戦 その経験が「トモダチ作戦」を生んだ?
米軍空母も救援に参加
アメリカ海軍は、対潜用のヘリコプター母艦へと艦種変更されたばかりの空母「キアサージ」を救援作業に投入し、計21機のヘリコプターが被災地へと投入されています。
なお、このときアメリカ軍のヘリコプターには航空自衛隊の戦闘機パイロットが通訳として同乗したとのこと。また「キアサージ」はヘリコプターを派遣しただけではなく、乗員たちが被災者のための寄付や募金活動まで行い、伊勢湾台風の被災地に多大なる貢献を果たしたそうです。
こうした救援活動が功を奏し、日米のヘリコプターは家屋の屋根に避難していた住民など約7000名を助け出しました。
この他にも、在日米軍部隊は救援物資をアメリカ本土から輸送するなどの支援も行っています。今も続く日米共同の災害派遣は、この時からスタートしていたといえるでしょう。
それから約半世紀が経った2011年3月、地震による大津波によって壊滅的な被害を出した東日本大震災でも、再び日米共同での一大オペレーション「トモダチ作戦」が実施されたのは、記憶に新しいところです。
災害大国といわれる日本。伊勢湾台風や東日本大震災をはじめとして、毎年のように起きる災害派遣を教訓に、自衛隊は常に進化し続けています。このたびの台風10号でも、あらかじめ県庁や市役所などに連絡要員を派遣するなど、動きが見られます。
災害は起きないに起こしたことはありませんが、万一起きた際は速やかに活動を開始し、被害を最小限に食い止めることが肝要です。そのための活動を、今も昔も変わらず自衛隊と米軍は行っているといえるでしょう。
【了】
Writer: 武若雅哉(軍事フォトライター)
2003年陸上自衛隊入隊。約10年間勤務した後にフリーフォトライターとなる。現場取材に力を入れており、自衛官たちの様々な表情を記録し続けている。「SATマガジン」(SATマガジン編集部)や「JWings」(イカロス出版)、「パンツァー」(アルゴノート)などに寄稿。
コメント