ぜ~ッたい渋滞してる!「埼玉の4大市街地」なぜ鬼門? スイスイ通過できない・させない鉄壁の構造とは!?

「鉄道のまち」故に辛い東西移動

 県都と東部の最大都市も“関門”が立ちはだかります。

さいたま市

 さいたま市エリアの東西移動の妨げになっているのは、南北方向に“万里の長城”のように立ちはだかるJR線の存在です。

 南浦和駅-浦和駅-大宮駅とつながるJR線は、京浜東北線、上野東京ライン(東北本線)、湘南新宿ライン(東北貨物線)の3複線を基本に、大宮操車場へ進入する武蔵野線貨物支線など、多くの線路が並行しています。

 この線路を渡れるのは、住宅地からつながる生活道路的な陸橋がほとんどで、線路の西に並行する国道17号「新大宮バイパス」と東に並行する県道35号「産業道路」を1本で結ぶ幹線道路として機能しているのは、国道463号バイパス、県道56号-214号などごくわずかです。これら道路に東西方向の交通が集中するため、つねに渋滞気味です。

 またそれ以外の道路の多くは市街地での右左折を強いられ、短い距離にもかかわらず思った以上に時間がかかります。

 鉄道に分断された街並みを連続化し交通をスムーズにするには連続立体交差化が不可欠ですが、ここまでの規模の線路に対する連続立体交差化工事は、費用や工期から考えても困難です。少なくとも、「東西にまっすぐ通り抜けられる道の整備」が望まれます。

越谷市

 さいたま市では「鉄道」という人工物により東西の移動が妨げられましたが、越谷市にある“バリア”は市内を流れる河川です。

 越谷市の市街中心部は元荒川、古利根川という2本の河川に挟まれた平地に発展し、その東側には中川が南北に流れます。

 そのため越谷市を東西に横断する場合は、いずれかの橋で川を渡る必要があるうえに、市街地の西を南北に走る国道4号「草加バイパス」から東の方向に市街地を貫く道路が皆無であることから、交通量の多い時間帯には市内の各所で渋滞が発生してしまうのです。

 さらに週末には、市内の南東に位置する日本最大級のショッピングモール「越谷レイクタウン」に向かうクルマの一部が市街地を通り抜けようとするため、場所によっては“止まって動かなくなる渋滞”に巻き込まれることもあります。

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貴重な東西軸である国道463号「浦和越谷バイパス」は、越谷の国道4号で途切れ、市街東側に抜けられない(乗りものニュース編集部撮影)。

※ ※ ※

 このように埼玉県の主要都市は、それぞれが東西の通り抜けに時間がかかる固有の事情を抱えています。こうした状況の解決にはバイパスの建設が有効ですが、すでに形成された市街地に新たに道路を通すのは容易ではありません。

 埼玉県を東西に移動する場合は、これらの市内の通り抜けに時間がかかることをまず理解し、「距離的に最短に見えても市街地を通り抜けるルートを選択しない」「リアルタイムの渋滞状況から最短ルートを案内できるスマホのナビアプリなどを活用する」などの対策をとりましょう。

【了】

【え…】これが埼玉4大市街地の渋滞“地獄絵図”です(地図/写真)

Writer: 植村祐介(ライター&プランナー)

1966年、福岡県生まれ。自動車専門誌編集部勤務を経て独立。クルマ、PC、マリン&ウインタースポーツ、国内外の旅行など多彩な趣味を通し積み重ねた経験と人脈、知的探究心がセールスポイント。カーライフ系、ニュース&エンタメ系、インタビュー記事執筆のほか、主にIT&通信分野でのB2Bウェブサイトの企画立案、制作、原稿執筆なども手がける。

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