ウーバーイーツ配達員 “あまり見なくなった?”「やってられるか案件」増加で店側も困惑 一体なぜなのか
新サービス「Uber One」が諸悪の根源か?
こうした配達報酬の改悪、顧客サービスの低下は、2023年2月に中川晋太郎さんがUber Eats Japanのゼネラルマネージャーに就任(2022年9月から暫定代表)した前後から徐々に始まりました。とりわけ筆者は、2022年11月から始まったサブスクサービスの「Uber One」が、今日の「Uber Eats」を巡る問題の元凶になっているとにらんでいます。
これは月額498円、または年額3998円を支払うことで、税込1200円(すべての手数料を除く)を超える注文は、何度利用しても配達手数料が0円、注文のサービス料が最大で30%オフになるという仕組みです。
「Uber Eats」のビジネスモデルは、注文金額のうち加盟店から35%、配達員から10%を手数料として得ることで成立していますが、「Uber One」の加入者が注文すると、その分の収入がほぼ消えてしまいます。そして、そのしわ寄せとして報酬の引き下げという形で配達員に押し付けられているのです。
なぜ「Uber Eats」がこのような、一見すると損するかのようなサービスを始めたかといえば、それは顧客の囲い込みが目的です。「Uber One」によって圧倒的なシェアを獲得できれば、競合他社は立ち行かなくなり、市場からの撤退を余儀なくされることでしょう。
そうなってからサブスク手数料を値上げしても、ほかに選択肢のなくなった消費者は自社のサービスを使い続けるとUber Eats Japanは考えているのかもしれません。しかし、日本の消費者はサービスや製品クオリティへのこだわりが強く、安かろう悪かろうのサービスを続けていては、いずれは離れていくでしょう。事実「Uber One」はリーズナブルなサービスにもかかわらず、昨今のマッチング率低下に伴って解約する人が徐々に増えているようです。
中川体制になってUber Eats Japanは好調を維持しており、売上については2024年1~3月期で前年同期比10%以上増を実現していますが、配達報酬の改悪による人手不足や顧客サービスの低下などの問題によって、その足元は揺らぎつつあります。
果たして先述したような状況を放置しても、なお好調を維持できるのでしょうか。もっとも、中川さんが自身の在任期間だけ好調を維持できれば良く、Uber Eatsの将来や利用者へのサービス品質、配達員の生活などはどうでも良いと考えているとしたら、話は別なのかもしれませんが……。
筆者は引き続き、フードデリバリー業界の状況を注視していこうと思います。
【了】
Writer: 山崎 龍(乗り物系ライター)
自動車やクルマを中心にした乗り物系ライター。愛車は1967年型アルファロメオ1300GTジュニア、2010年型フィアット500PINK!、カワサキZX-9R、ヤマハ・グランドマジェスティ250、スズキGN125H、ホンダ・スーパーカブ110「天気の子」。著書は「萌えだらけの車選び」「最強! 連合艦隊オールスターズ」「『世界の銃』完全読本」ほか
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