「スタジオジブリ」宮﨑 駿がメッチャ愛する“異形のクルマ”とは? 事務所「二馬力」の由来にも

最初の愛車はポンコツの2CV

 ですが、宮﨑さんが購入した2CVは、1954年にタクシー用に輸入された車両が自家用に払い下げられ、そこから複数のオーナーを渡り歩いてボロボロになった正真正銘のポンコツでした。

 そのため、走行中にドアやキャンバストップが開いたり、サビで穴が開いた燃料タンクからはガソリンが漏れたりするなどトラブルが多発。路上で立ち往生することも珍しくはなく、同僚からは「ヘンなポンコツ外車を買っちゃって……」と気の毒がられていたとか。とはいえ、宮﨑さんは周囲の評判など意に介さず、お気に入りの2CVを得意げに乗り回していたそうです。

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東京都小金井市にあるスタジオジブリの社屋(画像:Akonnchiroll CC BY-SA 4.0、via Wikimedia Commons)。

 宮﨑さんは途中、中断を挟みつつ、現在までに数台のシトロエン2CVを乗り継いでいます。最初の愛車は375ccエンジン搭載の初期型でしたが、角目ヘッドランプの1970年代製造のモデルを経て、現在は602ccエンジンを搭載した最終型を所有しています。なお、以前報道されたTVのドキュメンタリー番組には、所沢市の自宅から小金井市のスタジオへと2CVで通う宮﨑さんの姿が収められていました。

 1985年に発表されたイラストエッセイの中で宮﨑さんは、「シトロエン2CVは1930年代のフランス機の末裔である」として、戦前のフランス航空機との設計思想の類似性を指摘しています。特に2CVのルーフラインに関して「同世代の大型爆撃機ブロシュMB.200のコクピットまわりに形状がそっくりだ」との見解を述べていました。

 ほかにも「小さなエンジンの安いクルマを作るために2CVは、軽量化を飛行機的発想で行ったのである」と述べたうえで、「乗用車の設計思想は同時代の航空機のそれを反映する」との結論を明記しています。

 これらを判断するに、おそらく宮﨑さんは2CVに内在するフランス的合理主義と、飛行機を思わせる軽量設計、簡素で効率的なメカニズムを愛しているのではないでしょうか。

【了】

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Writer: 山崎 龍(乗り物系ライター)

自動車やクルマを中心にした乗り物系ライター。愛車は1967年型アルファロメオ1300GTジュニア、2010年型フィアット500PINK!、カワサキZX-9R、ヤマハ・グランドマジェスティ250、スズキGN125H、ホンダ・スーパーカブ110「天気の子」。著書は「萌えだらけの車選び」「最強! 連合艦隊オールスターズ」「『世界の銃』完全読本」ほか

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