汗臭い、泥臭い、鉄臭いの3拍子揃った『ボトムズ』は監督の前職が影響か!? 終戦直後に生まれた知られざるスクーターも

『太陽の牙ダグラム』や『装甲騎兵ボトムズ』『蒼き流星レイズナー』などの数多くの傑作・名作ロボットアニメを手掛けてきた高橋良輔監督。そんな高橋さんのメカ描写の原点は、若い頃に乗っていた鉄製スクーターにありました。

メカ描写の原点は少年期に乗った鉄製スクーター

 筆者(山崎 龍:乗り物系ライター)は以前、雑誌の仕事で高橋さんにインタビュー取材をしたことがあります。

 そのときに「ご自身の作品の原点となったのは何ですか?」と尋ねたところ、「若いときに関心を寄せていたベトナム戦争であり、この戦争を取材した開高健や石川文洋などのノンフィクション文学です」との返答でした。続いて「メカ描写の原点は?」と聞いたところ「青年期に乗っていた鉄製スクーターかな」と語ってくれました。

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新三菱重工(当時)が製造していたスクーター「シルバーピジョン」。少年期の高橋さんが乗っていたのは1950年代に生産されたいずれかのタイプになる(山崎 龍撮影)。

 高橋さんは太平洋戦争で父親を失ったため、母子家庭に育ちます。家計を助けようと、学業の傍らでおじの八百屋を手伝っていた彼は、店にあったオート三輪を運転する必要から、高校生のときに自動車免許を取得します。当時は四輪の付帯免許で自動二輪の運転ができたことから、親戚から新三菱重工(当時)製のスクーター「シルバーピジョン」を譲り受け、日常のアシとして乗り回していました。

 それまで乗り物といえば自転車しか知らなかった高橋さんにとって、風を切って走る鉄製のスクーターは新鮮で、自宅のある足立区から荒川の土手道を東京湾に向けて、暇を見つけては走っていたそうです。

 しかし、当時は舗装路が少なく土手道は凸凹だらけだったので、くぼみを通過すると衝撃ですぐチェーンが外れてしまいます。そのたびに高橋さんは手を油で汚しながらチェーンをはめ直し、少し走っては再び外れたチェーンをはめ……という作業を繰り返していたとか。それでも楽しくて苦にはならなかったと述べていました。

【え、肩の色が赤い!?】これが東京に立つ実物大「スコープドッグ」です(写真)

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