「ドローンはレーザーで撃ちまくれ!」そう簡単じゃない!? “コスパ兵器”時代に日本メーカーが活きる道とは? 【後編】

海外への輸出拡大を目指す日本の防衛産業にとって、これまでとは異なる形で装備品を作り上げる仕組みの構築は喫緊の課題です。米国企業との提携により課題を乗り越えようとしている三菱電機の取り組みを取材しました。

単純に連接するのではなくて…日米同盟における防衛産業の新たな試み

「統合化されたネットワークを使えば、単独では補えない能力を(味方のシステム同士をつなぎ合わせることで)何倍にも増加することができます」と、洗井事業部長は将来戦におけるネットワークや通信システムの重要性を指摘します。

Large 20241007 01

拡大画像

洗井昌彦 三菱電機 執行役員 防衛・宇宙事業本部副事業本部長 兼 防衛システム事業部長(画像:三菱電機)。

 そこで重要になるのが、2024年1月17日に三菱電機とアメリカの大手防衛関連企業であるノースロップ・グラマン社が締結した、「統合防空システム分野における装備品のネットワーク化の実現を目的」とする協業契約です。

 ノースロップ・グラマン社は、あらゆる装備品や部隊同士を連接し、リアルタイムで情報を共有することができる次世代の指揮統制システム「統合防空ミサイル防衛戦闘指揮システム(IBCS)」を開発し、すでにアメリカ陸軍において採用されています。そして三菱電機も、陸上自衛隊で運用中の「対空戦闘指揮統制システム(ADCCS:アドックス)」と呼ばれる指揮統制システムを開発した実績があります。

「ADCCSとIBCSはかなり似ているシステムです。そのため、そこをどうコラボレーションさせていくのかというのは、まさに今(ノースロップ・グラマン社と)お話をしている最中です」と、洗井事業部長は説明します。一方でこの協業契約は、ADCCSとIBCSを単純に組み合わせる、あるいはIBCSを陸上自衛隊に導入するというシンプルな話ではないと、洗井事業部長は指摘します。

「日本周辺で有事が起きれば、運用の観点からして、アメリカ軍は必ずIBCSを日本に持ち込んでくることになります。その際、日米は共同で戦うのは当たり前のことです。三菱電機は日本における国産防空システムメーカーであり、アメリカ軍の運用における中核となるIBCSと日本の防空システムがどのように連携していくかということは、日米の共同防空の中では重要なテーマになると考えました。そこで、ノースロップ・グラマン社との協業契約を結んだのです」

 つまり日米が共同で戦うことを前提として、お互いが持つ装備品をいかに連接させるかという点について考えた結果、それぞれの開発元である企業同士で提携を結んだということです。これは、日米同盟の下における防衛産業の新たな歩みのはじまりといえるかもしれません。

【これがつながるのか…】日米の指揮統制システムはこんなヤツ(画像)

Writer:

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  4. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  5. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス