「F-35Bが行方不明になりました」 驚愕のステルス戦闘機“迷子事件”その信じ難い顛末とは 米海兵隊が報告
ソ連機が西側上空をさまよったことも…
1970(昭和45)年2月2日、アメリカ空軍のF-106A戦闘機がフラットスピンを起こして操縦不能に陥り、パイロットが脱出しますが、その後偶然にも水平飛行に復帰し、無人のままモンタナ州の農場に不時着しています。機体は大きな損傷なく、修理されて任務に復帰しています。
また1989(平成元)年7月4日には、ポーランドを離陸したソ連空軍のMiG-23戦闘機がエンジン不具合を起こし、パイロットが脱出。バルト海に墜落するものと思われていましたが、間の悪いことに真西に飛行を続け、西側との国境を越えて西ドイツ、さらにオランダ、ベルギーまで飛行して燃料切れで墜落し、地上で1名が亡くなりました。NATOの戦闘機が追尾していましたが、人口の多い地域を飛行したため撃墜できませんでした。
今回のF-35Bの事案では、「空の幽霊船」のように1日以上も行方不明になるというのが問題でした。この原因については、位置情報を発信するトランスポンダーの停止、機体が航空交通管制レーダーの水平線の下に降下し捉えられなくなったことが指摘されています。そもそもレーダーに捉えにくいステルス機だということも一因のようですが、訓練では安全確保のため、レーダー波を意図的に反射するリフレクターも用意されているはずです。
この珍事によって皮肉にも、F-35の優れた自動操縦システムと飛行安定性、ステルス性、そしてパイロットの緊急脱出システムの確実性を示すことになりましたが、制御不能の無人ジェット戦闘機が空中をさまようなどまったく褒められた話ではありません。
【了】
Writer: 月刊PANZER編集部
1975(昭和50)年に創刊した、40年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。
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